museum
A「うん!俺とオーナーシェフだけ。」
B「飲食店だよね?・・・・・んー。最早それは、新手のいじめじゃないか。」
A「ま、実際行くのは俺じゃないわけだし。」
B「ああ、なるほど結局一番お前が楽してるわけだ。」
A「へへへ。あ、なぁヨウ。このロボット名前とかあるの?」
B「十六号。」
A「おいおい。それはないだろ。もっといい名前にしてやれよ。そんな造った順番とかじゃなくってさ、ん?ていうかお前が人型のロボット造ったのってこれが初めてなんじゃなかったっけ?」
B「あ、う・・・・うん。そう。こいつが初めて。」
A「じゃなんで、十六号?」
B「ドラゴンボール」
A「なるほど。…けど何かもっと、人らしい名前にしようぜ。」
B「たとえば?」
A「ジョンとか。」
B「人っていうか、ちょっとペットぽいじゃないか。」
A「じゃあ。・・・・。ヤスオ!」
B「やだよ。なんだかおっさんみたいだよ。」
A「ヨシヒデ」
B「だめ。」
A「ノブヒコ」
B「却下。」
A「サトル」
B「あ、ちょっとかっこ良くなった。」
A「中西」
B「ん?」
A「J彦」
B「おい。」
A「チュン子」
B「だめ・・・・・?・・・・ん?」
A「サダキヨ。」
B「無かったことにするな!なんだチュン子って!!人でもないし、性別も変わってるじゃないか。」
A「じゃあ、何がいいんだよぉ!スケキヨ?」
B「スケキヨも嫌だよ。怖いよ。とにかく、名前は変えない。こいつは十六号なの。」
A「ちぇ。なんだよ。つまんねぇなあ。」
B「つまんなくて結構。(小声で)他の名前なんて付けられるわけないじゃないか。」
A「へ?」
B「そういえば、カケル。模型の仕事はどうなったんだ?軌道に乗ったらバイト止めるつもりなんだろ」
A「え? ああ!それがさぁ、俺の模型作りを見た人が、新人なのにまるで機械みたいに正確だって言うんだよ。」
B「へー。それはよかったな。」
A「もしかしたら、こいつよりも精密な作業ができるかもな。」
B「僕の造ったロボットより細かい作業ができるやつなんていないよ。」
A「なんだ、自信あんだな。俺が本気を出したらロボットぐらい簡単に作ってやるよ。」
B「多分、お前なら本当に造れるよ。」
A「なんだよ、調子狂うな。いつもなら『絶対無理だ』とかいうくせに。」
B「僕だって一応、お前の技術を買ってるんだよ。」
A「えー。ヨウがぁ?うそだぁ!」
B「本当だよ。だから、今回十六号の色だって塗らせたし、模型の仕事だってわざわざ頼んできたんだろ。まぁ、お前がロボット造れるようになるのはまだまだ大分先だろうけどな。」
A「なんだよぉ~。いい気にさせてといてぇ~。」
B「たしかにお前の技術はすごいけど、ロボットを造るには知識も必要だからな。知識が。」
A「知識かぁ。知識はニガテだなぁー。俺は。」
B「だなー。」
Bロボットを見上げ、様子を見る。
B「まだ起動し終わってないみたいだな。(立ち上がりロボットを見る。) あのさ、悪いけどちょっと留守番しててもらえないかな。こいつが起きる前に部品買いに行きたいんだ。」
A「ああ。うん。いいけど。」
B「ごめん、悪いな。なるべく早めに戻るから。・・・・ああ、後、十六号を向こうの部屋に入れておいてくんないかな。右側じゃなくて左な!間違えるなよ!」
A「あいあい。わかったよ。いってらっさい。」
B 去り際に
「壊すなよ。」
A「分かってるって。」
Bはける。Aそれを見送りBが完全に行ったのを見て、ロボットをいじりだす。
「ホントに似てんなぁ。」
まじまじと顔を見る。背を比べる(手で)。
「おお。同じ。」
(ここから先はマイムでロボットを表す)手を持ち上げる。
「あ、止まるんだ。(手の先を合わせる) おお!ホントに正確だな!」
少し離れて、
A「鏡・・・・・。」
ロボットの横に並び、やけに芝居がかった口調で。
「実は俺・・双子だったんだ。」
ロボットを倒し自分も寝て、上に乗せる仕草。
「幽体離脱」
重そうに退けて、元に戻す。ロボットの正面に立ち。
「これ見えないと分かんないよなぁ~。」
急に深刻な表情。怯えたように
「な、なんなんだよお前。俺にそっくりじゃないか!?誰だよ、誰なんだよ!う、ぐぅ。(首を掴まれる仕草) あっ。(口を手で隠して)『同じ人物はこの世に二人居てはならないんだよ(低い声で)。フフフフ。死んでもらおう。』う。ガク。」
首からダラリとなり、ゆっくり倒れる。少しして起き上がる。
「どんな設定だよ。俺は疲れてるのか!?」
ロボットの鼻をつまむ。
「息が苦しいよう(鼻声で)。・・・・。ああ。息関係ないか。」
「ここは瘴気が濃い。吸ったらひとたまりもないわ。」
「これで壊したらまた怒られるな。」
ロボットを正面に戻し埃を払う。腕時計を見る仕草。
「うわ!もうこんな時間かよ!ドラマの再放送始まっちゃうじゃん!急がなきゃ。」
ロボットをほったらかしたまま出ていく。