museum
図書館という場所
A…上手に本を持って立っている(若者)。B…机の前でパイプいすに腰掛けている(老人)。
町の小さな図書館へ本を借りに来た若者。しかし、カウンターに座る老人はなかなか本を貸してくれない。
明転
椅子に座り何やらぶつぶつ呟いているB。
A「すいません。この本借りたいんですけど。」
B「7月8日。なんだこいつは、まったく・・・・お。なんだ、返してあ
ったか・・・・むにゃむにゃ・・・。」
A「すいません!」
B「はい? なんですか?」
A「あの、本を借りたいんですけど・・・・」
B「あ?本を買いたい? なんだぁ。あなたはぁ。ここは図書館ですよぉ。本を買いたきゃ本屋かぁ、ブックオフへいってください。」
A「ああ。違うんです。本を、か り た い ん です。」
B「ああ。本郷猛。 ふははは。わたしゃ、あんな強くないですよ。やめてくださいよ。ふは、ふはははは。へーんしん!はははは。」すぐ真顔に戻る。
A「ああ。だから、違うんですって、本をね。借りに来たんですよ。」
B「あぁ。用がないなら、かうんたぁには来ないでくださいよ。(机からAの手を振り払う。)わたしはね、今ハンコ押すのに忙しいんですよ。六十六。六十七。六十八。六十六・・・・。」
A「戻ってる・・・。あの、本をぉ、」
B「なんですかぁ。あなたー。これは。ここの本でしょう。借りもしないのに、本を持ち出すとは何だぁ。読むのか!? まったく、最近の若いやつはぁ。まったくまったくまったくだ。」本をもとあった場所へ戻す。
A「あぁ。あぁ。あぁ。あぁ。」本を取りに行く。
B「百七。百八。百九。百八。百七。百六。長いカウントダウンだなこりゃ。」
A「あのお!」
B「五、はい? なんですかぁ?」
A「本を、借りたいんですけど!」
B「あぁ。はいはい。」