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チャーリー&ティミー
チャーリー&ティミー
novelistID. 28694
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八咫占札の日常 大アルカナ

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その音はテーブルで食事をしていた義輝達にも聞こえた。
「ん?交通事故か?」
「……どんがらがっしゃーん」
「あわ、あわわわわ……」
一同が立ち上がると同時に、八咫と五月雨が青い部屋から出てきた。
そしてそのまま店のドアを開ける。
そこには……大惨事が広がっていた。
車A――練馬ナンバーわ1586、レンタルのスズキのトラック――の運転席からから内臓が飛び出した死体……いやまだ生きているモノが見える。
男性ひとりのようだ。
周りが血で濡れている。
この男性はもう助からない。
五月雨は男性に声をかけ楽にした。
八咫は車B――品川ナンバーは1432、トヨタのプリウス――の運転席を覗く。
「こっちは家族づれだったみたいですね」
既に運転席と助手席の二人は亡くなっていた。
後ろの席には女の子が一人……
「脈はあるわね。」
夢野が脈を取る
「出血はなし。骨折もあるけど、酷くはない。全身打撲……これなら多分命に別状はないわ」
誰かが呼んだか救急車が到着して、女の子を運んでいった。
「……」
「……」
八咫は分かっていたかのような顔をしてフォルトュナを去ろうとした。
しかし、肩をつかまれる。
「あんた目の前で人が死んでんだぞ。なんとも思わないのか!?」
鍋倉義輝その人である。
「運命には逆らえません。」
「だからって……」
義輝がつかみかかろうとした時、五月雨が可愛らしい唇にこれまた可愛い指をつけ、静かに……とでも言うような目線を送ってきた。
「こっちおいで……」
「みゃ~……」
『猫?』
八咫以外の全員がまるでお笑い芸人のようにずっこける。
「みゃ~……」
「うん。そうだね。」
なにやら猫と話し合う五月雨。
一同はそれをただボケーっと見るのだった。
* 五月雨視点
――これは初めてだ
五月雨は素直にそう思った。
――体は生きている。
しかしその体に魂と呼べるものは入っていなかった。
本来、人間は肉と魂によって構成される。
故にどちらかが欠けていれば死んでしまう。
魂がなくなれば、植物人間状態となり衰弱死。
体がなくなれば文字どうり器の中の魂はこぼれて消える。
しかし、五月雨が見たのはそのどちらにも属さない身体だった。
その少女の魂は、消えていなかった。しかしその器の中には無い。
五月雨は考えた。
魂がほかのものに宿ることはあっても相性が良くなければ、すぐに消えていく。
203号室の住人は霊媒体質であることが分かっていた
あのように何か特徴のあるモノにしか魂は移動できない。
そして、それを考える間に少女は救急車で連れて行かれた。
しかし、彼女の魂は近くにある。
そして、五月雨は気づいた。
「みゃ~……」
猫がいた。
三毛猫だった。
性別は……おそらくメス。
生まれて間もないようだった。
親の猫は車の下で死んでいる。
そして五月雨は聴いた。
その猫の鳴き声を……。
「ミャ~ミャ~(な、なにが起こってるの!?)」
少女の魂が……この子猫の魂を……乗っ取っていた。
「こっちおいで……」
五月雨はなにやら八咫ともめている義輝に静かにと合図を送ると子猫を呼んだ。
「みゃ~(え?あなたは何か理由を知っているの?)」
五月雨は子猫を抱きかかえると、頬擦りをする(可愛い!嫁にくれ!【作品に出るな!チャーリー!
「みゃ~……っみゃ!(気持ちいい……っじゃなくって!なんで私が猫ちゃんになってるの!)」
まるでツッコミのように腕……もとい前足で器用に五月雨の胸を叩く。
「うん。そうだね。」
「みゃみゃみゃみゃみゃみゃ!!!!(うんそうだね。ってなにがそうなのさ!教えてよ!)」
「いや、僕にもわからないんだけど。」
そのあと、五月雨がわかったことは……

・少女の名前は綾瀬美紀

・最近の女子高生だが、テニスが大好きで全国大会に出たこともある。

・生まれて間もない猫の魂が美紀の魂で押し出された事で体を不本意ながら占有。

以上のことが分かった。


五月雨視点終了。


八咫は猫の前にタロットを広げ一枚めくった。
教皇の正位置。
八咫はニッコリと笑うと猫の前に拳大の水晶玉を置いた。
そして、どこからともなくピンク色のリボンを取ると猫の首に付け、一言言った。
「もしも、あなたが未来を知りたいようだしたら私の家に来てください。さすれば道は自ずと開かれるでしょう。」
そう言うと八咫はその場を去った。
「……夢野ちん。どうやって帰りましょうか。」
『あ。』
一同は一斉にパニくりはじめたのだった。