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察人姫-第壱話-

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 部室荒らしが起きるまで、保澄学園に計三十以上ある運動部の大半の部室はかなり散らかっていた。そんな状態を普通は監督や顧問などが注意をするようなものだが、全国的に活躍した部の監督は傲り、弱小の部に顧問が姿を見せるのは稀、他の部の顧問はそんな周りに合わせて放置。そして部室はますます散らかっていく。
「問題のある部の上級生や顧問には一言注意したんだがな、全く聞く耳を持ちやしなかった」
 寅田は苦い表情を浮かべて語る。
 結局ちゃんと聞き入れたのはたまに臨時コーチとして顔を出す武道系の部活だけで、他は全く整理整頓をする素振りもなかった。
 部室荒らしが起きるまで、保澄学園に計三十以上ある運動部の大半の部室はかなり散らかっていた。そんな状態を普通は監督や顧問などが注意をするようなものだが、全国的に活躍した部の監督は傲り、弱小の部に顧問が姿を見せるのは稀、他の部の顧問はそんな周りに合わせて放置。そして部室はますます散らかっていく。
「問題のある部の上級生や顧問には一言注意したんだがな、全く聞く耳を持ちやしなかった」
 寅田は苦い表情を浮かべて語る。
 結局ちゃんと聞き入れたのはたまに臨時コーチとして顔を出す武道系の部活だけで、他は全く整理整頓をする素振りもなかった。
 壊されたものはゴミと思われる物ばかりで、高価な物や思い出の品などは何の被害もなかったのだ。つまり荒らされたと思われる物は片付けができていないものを棚やらロッカーから全部出しただけにすぎない。大掃除などにおいての最初の段階である。
「あまりにも片付けができていないから強行策に出た。これが部室荒らし事件……ううん、勝手にお片付け事件の真相だよ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
 新たな事件名を付け、締め括ろうとするソラに、もしくはそれを認めようとする寅田に待ったをかける藤村。
「じゃあ何で上に報告やら相談をしなかったんだよ?部室の整理なんて一時間もあれば十分だ。顧問とかが聞かないなら校長や教頭に相談して勧告してもらえば良い話だろ……わざわざ強行策に出る前にできることはいくらでもあるだろ」
 その藤村の言葉は誰に対してのものか分からないが、それに対しては推理を披露したソラでも犯人の寅田でもなく、ユーイチが答える。
「寅田さんはそれを全部したんだと思いますよ。けど、聞き入れてもらえなかった。理事長に直訴すればどうにかなったかも知れませんが、校長先生だと厳しいです。僕らも調査をする際には夏前の大事な時期だから練習の邪魔はするなって条件を出されたくらいですし」
 ユーイチの言葉を寅田は否定しないことから、それもまた的中なのだろう。
 これが事件の真相。



作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司