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察人姫-第壱話-

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 鶴岡修。
 田村喜晴。
 吉川竜雄。
 元保澄学園警備員でソラやユーイチの在学中には寅田と共に仕事をし、藤村が警備員として雇われるのと入れ替わりに退職した者達である。
「その三人なら寅田さんと同じく警備ルートを把握し、見回りを回避できるメンバーだと思いますが、どうですか?」
「……可能だ」
 ユーイチの確認に寅田はため息を吐いてから肯定する。
「ここまでの推理、どうかな?」
「特に問題はないぞ。ただ、セオリー通りだと思うだけだ」
「そりゃそうだよ。今回みたいな誰にもできるわけではない事件の場合、犯行が可能な人間が犯人である可能性はかなり高いんだから。もしトラちゃんをダミーの犯人にした真犯人がいるとしたら私こう言わせてもらうよ……もっと大きな事件起こせよってね」
「ふん……で、動機についても推測はついているんだろ?」
「あれ?ここは証拠を盾に言い逃れする所じゃないかな?」
「証拠?そんなもの、至るところにあるさ。それよりもお前らはどこまで知ったかが気になるな」
 もはや犯人であることを認めた発言までする寅田。だが、自白するつもりはないらしく、最後までソラの推理を聞くに徹する。
「動機……そうだよね、それが今回の事件で一番重要だったんだよね」
 荒らされた部室。
 なのに被害としては少なく、
 なにより盗まれた物はなかった。
「今のご時世、いくら学園側が警察に通報しない姿勢をとったとしても、部員個人から親などに漏れる可能性は高い。そして親が勝手に通報することだって考えられる。なのにそれが全くなかった……そこから僕とソラは考えたんです。犯人は部室を荒らしたんじゃないんだと」
 まあシュウが一番先に気づいたんですが……と加えてユーイチはソラに目で結論を述べるよう促す。
「ねえ、トラちゃん。最後の確認だけど……今回の事件って“子供に部屋の整理整頓やれってずっと言ってたけど、全くやらないから親が勝手にしちゃいました”ってことでいいのかな?」
 そんなソラの最後の確認に、寅田は今までと同じように小さな頷きで肯定を表した。



作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司