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察人姫-第壱話-

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「ユーイチの考えはもっともだよ。犯人が一人だとしたら一番可能性が高いのは藤村ちゃん……これは私も同じ意見」 
「一人だとしたら……って、じゃあソラの考えは複数犯だってのか?」
「イエス、というか協力者も仲間もいない単独犯にこの犯行は無理だよ」
「まあ元から予想はしてたことだけどな……とりあえず予定通り今から聞き込みに行こーぜ」
「だね。校長センセ、それで大丈夫かな?」
「ええ、お任せします」
 時刻は三時半。
 そろそろ部活動が始まる時間である。





「あ、浅蔵先輩!」
「あ、ホントだ」
「浅蔵先輩だ」
「本当に来てたんだ……」
 聞き込み開始……と意気込み、応接室から出てグラウンドに向かおうとした二人だったが、これから帰るところであろう帰宅部の生徒に捕まってしまう。
 様々な伝説を残し、文武両道で何度も表彰され、お前に顔も良い。
 皆の憧れ、浅蔵祐市。
 その人気は卒業して三年経った今でも衰えず、むしろ美化されて在学時代よりも人気があると言っても過言ではない。
「……先に行っておくから、野球部からだよ」
 主に女子に囲まれ、身動きの取れないユーイチにソラは不機嫌そうにそう伝え、早足でグラウンドに向かう。
「あの人、誰ですか?」
「もしかして彼女さんですか?」
 校内新聞やポスターに載ったことも多々あるユーイチに対し、保澄学園で同じように様々な伝説を残したソラだが、写真が嫌いで卒業写真くらいにしか記録がないため、いざ実物にあっても初対面で分かる人は少ない。何人かはソラではないかと当たりをつけているが、ずっと謎なままの二人の関係を知り合いためか、分からないフリをしている。
 そんな生徒達にユーイチは簡潔に答える。
「最大の理解者だよ」



作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司