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察人姫-第壱話-

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「で、その根拠はなんだよ?名探偵」
「別に、勘みたいなものだよ」
 アタルが生徒会の仕事に戻った後、ソラとユーイチは特に聞き込みをするわけでもなく学園内を歩く。
「被害は散らかされたり、備品が壊された程度。その中に特別高価なものはなく、何も盗られていない。その点から犯人の目的は部員に精神的なダメージを与えること」
「まあ、そうだろうな。あと、また被害に遭うかもしれないって不安も出てくるだろうし……けど、それならなおさら外部犯、他校の関係者の犯行って可能性が高くならないか?」
「かもね。でもこんな一度に被害を受けるなんて考えられないよ。それに外部の犯行だったらもっと派手にやるよ」
「……それが犯人の狙いって線は?」
「ない」
 ソラは断言する。
 ハッキリと、迷いなく。
 だが、明確な根拠もない。
「でも、強いて根拠を挙げるなら……警察に通報しないってことかな?」
「なんでだよ?それは保澄学園のイメージに関することだろ?」
「それはおかしいよ、ユーイチらしくない。なんで被害に遭ったことが知られるのがイメージダウンになるの?確かにセキュリティは充実してるけど、別にセキュリティを売りにしてる学校じゃないでしょ?」
「じゃあ、なんで……あっ」
「そう。なぜイメージダウンになるか……それは保澄学園の関係者が犯人だから。きっと校長は気づいてるんだよ、保澄学園の誰かが犯人だって……まあ犯人は特定できてないだろうけどね」
「ソラ、他の考えもあるぞ。校長が犯人って可能性……」
「そうだね……ふう、やっと着いた」
「改めて思うけど……広すぎだよな、この学校」
 そんなやり取りをしている内に二人が辿り着いたのは警備室だった。
 二人にとっては中々に思い入れの強い場所である。



作品名:察人姫-第壱話- 作家名:朝朽 司