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ここにも戦場があった

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小さな菜園があるベランダに出るために娘の部屋を通る時、私はうっかりCDの山を崩してしまった。がしゃがしゃと音を立てて崩れたCD達。足元に盛り上がった山を呆然とみつめながら、ため息が出た。

三階建てとはいえ、各部屋がそう大きいわけではないので、妻と娘が通販で買い物をする度に物が増えてしまい、押入はもう満杯だし、階段の半分は物で埋まっている。そして各部屋は歩く場所しか残っていない。何度も注意をしたのだが、そもそも妻の親の家だったので、強くは言えない。通販の買い物はパートで稼いだお金だと開き直られれば、気の弱い私はそれ以上言えなかった。

せめて、使わないものは捨ててくれればいいのだが、妻は滅多に捨てることをしない。俺が勝手に判断して捨ててしまったものもあるのだが、妙に記憶力の良い妻は、「三階の納戸に入って、ルームランナーの所を右に一歩入って、左に曲がって突き当たり右上に積んであった安眠枕が無いけど、あなた知らない?」などと言いだすことがある。

それはもう何年も使わないで放置してあったので、何かを取りに来たついでにそれは私が捨ててしまったのだ。それでさんざん愚痴を言われたのだった。

愚痴をいわれるのはイヤなので、妻娘には何も文句を言えない。養子では無いが養子状態の私はいつの間にか無難に、事を荒立てない生活をするようになっていた。

デザイナーという仕事がら、かなり家にいる時間が多いので、それも結構暇な時が多いのでつい、主婦のようなことまでするようになった。といっても、各部屋は私では管理、清掃が出来ないのでもっぱら料理や買物が主ではあるが。

作品名:ここにも戦場があった 作家名:伊達梁川