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男と女のファンタジー 『変若水』 (おちみず)

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木こりのジュンは、お姫様アイを泉のほとりにある家へと連れて帰ってきた。
そして粗末ではあるが、精一杯のおもてなしで、暖かい食べ物を出した。 

森の夜は早く更(ふ)けて行く。
ジュンはお姫様のために、出来るだけ温もりのある一夜の寝床を用意した。

お姫様アイはつい先ほど床について眠ったようだ。
ジュンもこれで一安心と眠りついた。

月光の柔らかな光りが部屋に差し込んできて、ぼやっと仄かな明かりを漂わせている。
奥深い森の遙か向こうから、この森の静寂(しじま)を破るかのように、狼の遠吠えが聞こえてくる。

そんな真夜中に、狼とは異なる艶冶(えんや)な鳴き声。
「うーうん … うーうん」

そんな悩まし過ぎる声で、ジュンは目を醒ました。
それはどうもお姫様アイが発しているようだ。

「どうされました、お姫様」
ジュンは心配となり、お姫様の横に行き声を掛けた。

アイは「うっ」と目を醒まし、切なくも、されど強く訴えてくる。

「ああ、私の身体が枯れていく、ねっ、ジュン、お願い、お水を頂戴。 
あっとそれとね、もう私のことをアイと呼んで、これ命令よ」

ジュンは戸惑ったが、しかし「わかりました」と返事した。
そして慌てて水を取りに行った。 

筒一杯の泉の水を持ってきて、アイをゆっくりと起こし、「さっ、これを」とアイに渡した。

その時、ジュンの手がはからずもお姫様アイの肌に触れる。 
ジュンはドキッとする。
そして気付く。

アイの肌がカサカサで、干からびていると。