男と女のファンタジー 『変若水』 (おちみず)
山の向こうに、青い泉がある。
そこには命の変若水(おちみず)が湧き出ている。
ジュンはまた旅を続けた。
そして二、三日は経っただろうか、やっと森を抜け出し、山の麓までやってきた。
そんな所に、御殿のような大きな屋敷がある。
ジュンはそこで今宵の一宿一飯のお世話になろうと門を叩いた。
「やあ、やあ、やあ・・・・・・まあお疲れでしょ、早くお上がりなさい」
実に恰幅の良いオヤジが調子の良い声を張り上げて現れ出てきた。
「山を越えて、変若水を取りに行く途中です、今晩一晩泊めて頂きたいのですが」
ジュンは丁重に願い出た。
「わかってまんがな、お兄ちゃん。まあこの家でゆっくりしなはれ」
オヤジはヤケに馴れ馴れしい。
そしてジュンを大きな部屋へと通してくれた。
「おっ、これは?」
ジュンはその部屋に入るなり言葉をつまらせた。
なぜなら、ジュンがその部屋で見たものは、なんと金銀財宝の山、また山。
まさに黄金のてんこ盛り。
そして、ジュンが部屋で休んでいると、どんんどんと山海の珍味、それと美酒が運ばれてくるのだ。
作品名:男と女のファンタジー 『変若水』 (おちみず) 作家名:鮎風 遊