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男と女のファンタジー 『変若水』 (おちみず)

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森の朝は陽の光りが斜めに差し込んでくる。 
実に爽やかだ。

そして、そのキラキラと輝く斜線の隙間を縫って、小鳥たちが飛び交い、さえずり合う。

この泉にも、少しの時間遅れで、神々しい光りにより新しい日の輝きが届いてくる。

ジュンはそんな清涼な朝をいつも通りに迎え、アイを城の近くまで送っていった。 
そしてその足で、山の向こうにある変若水の青い泉に向けて旅立ったのだ。

ジュンは、まずはその山に向かって、深い森を若い足でどんどんと歩き進んでいった。

しかし、森は深過ぎる。
なかなか森から抜け出せない。

森は案の定早く日が暮れる。
ジュンは大きな木の下で一夜を過ごすこととした。

火を起こし暖を取り、食事も済ました。
そして疲れもあり、眠りについた。
ジュンは直ぐに深い眠りへと落ちていった。

随分と眠っただろうか、静かなはずの森の中がことのほか騒々しい。
ジュンは目を醒ました。 

どうも何かが近くで、キャッキャと大騒ぎしているようだ。
ジュンはそっと目を見開いてみると、少し離れた所で、飲めや歌えの宴会が催されている。

そして、さらに目を凝らして見ると、何人もの妖艶な女達が踊り狂っているのだ。

「なんだよ、これっ! こんな森の中で・・・?」
ジュンは一体これがどういうことなのか、まったく分からない。

そんな面食らっている時に、エロチックな肉体をはだけ、一人の妖美な美女がジュンのそばに来て、手を取った。

「早く早く、ジュン、食べ放題、飲み放題よ、さっ、こちらにいらして。
飲みましょ、踊りましょ!」

「えっ、これは?」
ジュンはこの奇々怪々さに目を丸くして驚く。

よく見てみると、催されている宴(うたげ)の輪の中心には、食べ物や酒が山ほど積まれてある。
そしてその周りで、へべれけに酔った妖女達が、狂ったように艶めかしく踊っているのだ。

「お肉を一杯食べて、お酒もたっぷり飲んで・・・ 
ねーえ、私もついでに食べちゃって・・・・・・頂戴!」

妖女がこんなセリフを吐いて、ねっちりとジュンに迫ってくるのだ。