男と女のファンタジー 『変若水』 (おちみず)
「ふーん、色欲・飲食欲・財欲・名誉欲・睡眠欲の5つの欲ね、それらに耐えなければならないのか。結構難しそうだね」
ジュンは自信なさそうについつい弱音を吐いてしまった。
アイはそんなジュンを見て、甘い声で提案をしてくる。
「ジュンが男として、これらの5つの欲に耐えて、私のために変若水(おちみず)を持ち帰ってくれれば、私はいつまでも肌も瑞々しく、若くあれるし・・・。
私、ずっとジュンのそばにいて、毎晩・・・・・・もっともっと愛して上げてもいいわ」
ジュンは何も言えず、黙り込んでしまう。
そんなジュンを見て、アイはさらに誘惑をしてくる。
「わかったわ、ジュン、あなたも男の子ね、結局は全部欲しいんでしょ。
私はお城のイケナイお姫様だから、変若水を見事持ち帰ってきてくれたら、
そう、それらの5つの欲、すなわち色欲・飲食欲・財欲・名誉欲・睡眠欲を、全部満たしてあげるわ」
ジュンは貧乏な木こり。
仕事は一所懸命だが、それだけで自分の生涯を終わらせたくない。
そんなことを最近考え出している。
これぞ千載一遇のチャンスなのかも知れない。
こんな途方もないアイの提案に、ジュンは魅力を感じ始めた。
そして遂に、
ジュンはそのアイの煽りと誘惑に負けて、返事をしてしまうのだ。
「わかった、アイのために、その5つの欲を乗り越えて、変若水(おちみず)をアイの元へ持ち帰ってくるよ」
だがアイは、その上にしっかりと念を押してくる。
「今まで変若水を取りに行った男達は、その5つの欲に負けてしまってね、途中で行方不明となってしまい、二度と帰って来なかったわ。
だけど今回、私嬉しいわ、ジュンが本当に頑張ってくれそうだもの」
アイはそう囁きながら、もう一度その身をジュンに預けてくる。
「これで私は、カサカサにならない艶(つや)やかで、美しい肌のまま、そう、永遠の若さを手に入れることができるのだわ。
ジュン、大好きよ!」
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作品名:男と女のファンタジー 『変若水』 (おちみず) 作家名:鮎風 遊