舞うが如く 第七章 7~9
舞うが如く 第七章
(9)工女の月給と食事
糸をとるために熱湯を満たしたまゆ容器は”釜”
(洗面器みたいな形)と呼ばれています。
繰糸場ではこの釜が25個、直線に並んでいます。
その作業台は2列あり、2つを合わせた50個が1
つのブロックをつくります。
富岡製糸場で稼働しているのは、4ブロックで合計が200釜です。
西からの2ブロックを、一等台
(最上品質の糸をつくる)と呼んでいました。
次の1ブロックは二等台、その次の一番東側の1ブロックが、
三等台とされました。
等級に応じて、それぞれに選別された繭が支給されます。
繭そのものにも等級があり、上、中、下と3段階に仕分けられています。
釜の作業台の後ろには、揚げ枠台が配置をされています。
糸とり担当がまず、釜の前で糸とりの作業をします。
糸揚げの担当は、揚げ枠台の前に立って仕上げの作業をします。
揚げ枠台には、子枠をさす棒があり、
ここにさした小枠から糸をあげ、ガラスで出来たガイドを通して
上の大枠へと、さらに生糸をつなぎあわせます。
大枠が蒸気エンジンの力で回転をはじめると、
小枠からは糸が繰り出されて、次第に大枠に巻き取られていきます。
巻き取る際には、糸が自動的に左右に往復運動を繰り返し、
綾目を作りながら巻き取られます。
切れた際の糸のつなぎ目は、
ごく小さなものにしなければなりません。
また横糸を出してもいけないという、厳しい基準なども有りました。
(1個のまゆからは、平均して、800m~1500mの糸が取れます)
作品名:舞うが如く 第七章 7~9 作家名:落合順平