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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第7話・第8話(前半)

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■築城都市マノーラ 市政運営所2F 民衆自警集団ジャスティス マノーラ支部前<シーンNo.7-8>

 中へ入ると受付には、レイナの父親であり、ジャスティス支部長兼マノーラ市長―バーク・ムートが彼らに背を向けて待っていた。

リディア「バーク支部長!」

 リディアの声に反応し、彼らを見つめるバーク。

フェレル「遅くなってしまい、申し訳ないです」
 バーク「いや、いい。無事に帰ってきてくれて何よりだ。それで任務は・・・・・・ふむ、聞くまでもないか」

 リディア達の後ろにいるレイナを見つめるバーク。

リディア「ほら、レイナ」

 後ろにいるレイナの背中を押すリディア。
 レイナは恐る恐るリディアたちの前へと歩き、父親と対面する。

 レイナ「(自信なさそうに)と、父さん・・・・・・」
 バーク「まったく・・・・・・心配かけて・・・・・・よかった、無事で」
 レイナ「ご、ごめんなさい。でも、わたし、どうしても・・・・・・!」
 バーク「・・・・・・」

 バーク、リディアたちに背中を向けながら、

 バーク「だめだ!おまえを『ジャスティス』に入れるわけにはいかない!」
 レイナ「な、なんで許してくれないの?理由を言ってよ!」
 バーク「おまえのためだ・・・・・・」
 レイナ「おまえのためって・・・・・・答えになっていないわよ!わたしの人生はわたしが勝手に決める権利があるわ。なのに、どうして、他人に自分の人生を委(ゆだ)ねられなきゃならないのよ!」
 バーク「・・・・・・」

 バーク、黙りこむ。
 二人に言い争いにリディアが割って入る。

リディア「(必死そうに)バーク支部長、答えてやってよ!なんで、そこまでしてレイナをここに残す必要があるの?親心からなのかもしれないけど、いくらなんでもレイナの人生まで決める権利はないわ!」

 リディア、必死に訴えかける。
 その訴えが届いたのか、バークは話を進める。

 バーク「・・・・・・これもレイナ、おまえが平穏に暮らせるようにするためだ・・・・・・」
 レイナ「え?」

 バーク、三人に背を向けながら、

 バーク「母さんが亡き後、過激派による襲撃事件が発生し、ソヴェットを始めとする多くの者たちを犠牲にしてしまった。もうこれ以上、誰かが失うのは見たくないんだ。ましてや実の娘ならなおさらだ・・・・・・」
リディア「あ・・・・・・」
フェレル「・・・・・・」
 レイナ「・・・・・・」

 三人は彼もまた、『襲撃事件』という名の呪縛から解放されていないことを知り、言葉が出ない。

リディア「そんなことで・・・・・・」
 バーク「なに?」

 リディアを見つめるバーク。

リディア「そんなことで、夢を摘むのはやめて下さい!確かに、自分の周りが居なくなるのは悲しいことです!ですが、自分の為に相手を勝手に引きずりこむのも良くないわ!それも、相手の気持ちを考えずによ。そんなの、レイナが側にいれば気が済むという、ただの無い物強請(ねだ)りだわ!」
 バーク「黙れ!おまえに何がわかる!?」
リディア「(必死に)分かりませんよ!実際に事件に巻き込まれていないから!でもね、それこそレイナが貴方を遠ざける原因にすぎないわ!自分の殻に無理矢理引きずりこむというその行為が!彼女には彼女なりの幸せがある。親なら・・・・・・娘が決めた未来のために、支えてあげるのが務めじゃないの!?」
 バーク「・・・・・・」

 バーク、再び黙り込む。

 レイナ「父さん・・・・・・」

 バーク、彼らに背中を向けて、

 バーク「帰ってくれ・・・・・・」
フェレル「え?」
 バーク「(怒ったように)今日は帰ってくれ!」
 レイナ「・・・・・・」

 バークの悲しそうな背中を静かに見つめる3人。
 三人はジャスティス支部から出ていく。
 三人が出て行ったあと、バークは寂しそうにつぶやく。

 バーク「分かっている・・・・・・分かっては、いるんだ・・・・・・」

 ※ここでイベント終了。そのまま「築城都市マノーラ 市政運営所前」へ進む。

■築城都市マノーラ 市政運営所前<シーンNo.7-9>

 夕方。
 夕日が市政運営所の窓ガラスを輝かせている。
 市政運営所前にいる三人。

リディア「ふぅ~まさか、頑固支部長までも襲撃事件のことを引きずっていたなんてね・・・・・・」
フェレル「まあ、大事な人が次々と自分の周りで失うのを見てしまうと、離れていくことも『死』へと向かうも当然と思ってしまうんだろうな。ちょっと大げさだけど・・・・・・」
 レイナ「父さん・・・・・・」

 父親の気持ちを知り、落ち込んでいるレイナ。

リディア「(レイナを見ながら)大丈夫。あんたの親父は、ホントはそうじゃいけないと思っているわよ。ただ、自分のなかで決着がついていないだけだわ」
フェレル「ああ。レイナ、後もうひと押しだ。また明日、支部長と真正面から気持ちをぶつけて見ようぜ。自分から『心』を開けば、大丈夫さ」
 レイナ「フェイさん・・・・・・はい。もう一度話してみます」

 レイナ、コクンと頷(うなづ)く。

リディア「それじゃあ、あたしたちは宿屋で一泊するから、これを支部長に渡しといて」
フェレル「おお、そう言えばそうだったな」

 二人はレイナに手帳を渡す。

 レイナ「分かりました」
フェレル「また、明日な」

リディアとフェレルはレイナに向かって右手を挙げる。
 レイナも右手を挙げて、

 レイナ「はい、また明日」

 二人を見届けるレイナ。

 レイナ「よし、もう一度説得しないとね」

 レイナは気合を入れて、市政運営所へと戻る。

 ※イベント終了。このまま『ムート邸』のイベントへ進む。

■築城都市マノーラ ムート邸1階 書斎<シーンNo.7-10>

 夜。
 マノーラの市政運営所の真後ろにある、大きな豪邸『ムート邸』
 その1階の書斎で、バークは本を読んでいる。

バーク「ふう~」

 バークはため息をつきながら本を閉じ、いつも整備されている庭を眺める。

バーク「レイナ・・・・・・」

 それを寂しそうに見つめるバーク。
 ソヴェットの言葉を思い出すバーク。

 ※民衆自警集団『ジャスティス』マノーラ支部で、ソヴェット(当時30歳)がバークに訴えている絵を表示。

ソヴェット「レイナは世界を回りたがっている。彼女はまだ若いし、自由にできる時は今しかない。彼女がこの道に興味あるかないかは別にして、彼女の思う通りに世界を見つめるべきだ!自分の思いだけで強要しては、ますます彼女が遠ざかるだけです!!(必死に訴えているように)親子の『絆』を信じてくださいよ!例え離れていても、ここまで一緒に生きた過程、時間は一生もののはずだ。この『絆』は、お互い離れても消えるはずはないです!!」

 バーク、本を静かに閉じ、

 バーク「・・・・・・」

 閉じた本を机に軽くトンと置き、

 バーク「そうだな、ソヴェット・・・・・・今こそ、巣立ちの時か」

 バークは目を瞑り、覚悟を決める。
 ※イベント終了。このまま『築城都市マノーラ 市政運営所2F ジャスティス支部』へ続く。