ゆびきり
「占いは好きですか?」
菜奈は少し考えてから、
「嫌いということはないでしょうね。でも、なるべく信用しないようにしてます」
「今から数時間前です」
「えっ?今日の午後かしら」
「うとうとしていたら、夢に占い師みたいな老人が現れて、北西の方角に行くといいことがあると云うわけです」
「ここが北西の方角だった?」
「勘がいいんですね。大当たり!」
「サイコロステーキが来ました。お寿司は好きですか?」
今度もそれがいつ届いたのかわからなかった。判っているのは菜奈がずっと笑顔のままだということ。考えてみれば少し前に届いていたフライドポテトを注文した記憶がない。
「ガリだね」
菜奈は驚いた顔になった。中野は彼女の表情を眺めながら笑っている。
「菜奈さんはガリが一番好きで、次がサーモン」
「わー、凄い。そんなことまで憶えてくれていたのね。感激!」