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結ばれて

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再び、病院に戻ると、待合室には、ひとり妻が待っていた。
飼い主を待つ子犬のような眼で私を見つめるだろうか。
真っ白なネットの包帯を頭に被り、その中には大きなガーゼが貼ってあった。
近づく私を見た妻の眼は、そうではなかった。
「終わったよ。止血はできていたけど傷はパックリ。でも3針で済みました。
レントゲンも撮ったけど、ひびは見当たらずだって。良かったね」
(良かったね。って、それは私の台詞にとっておいてくれよ)
「うん、そっか」
妻が溜め息をついた。よし!私の思いやりのみせどころ。
「はぁ。縫ってマンガみたいにガーゼ貼って、明日、会社へ行ったら聞かれるだろうなー」
(し、心配の種はそれか!?)
私は、妻を玄関前に降ろすと、そのまま仕事場へ車を走らせた。
後方で妻が手を振って見送ってくれていた。

翌日から、包帯ネットの上からヘアバンドをして仕事に出かけた。
やはり、すぐバレタらしい。そりゃそうだ。
毎日消毒にも通っている。自分の車に乗って軽やかに。
ドライシャンプーでケアしているけど、やはり女性だ、それが苦痛のようだ。
抜糸が済んでも消毒にも通っているが、洗髪を許可された日は嬉しそうだった。
私の好きになったあの笑顔が見られた。

作品名:結ばれて 作家名:甜茶