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舞うが如く 第六章 13~16

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 庄内へ移り住み、敗戦以来開墾に明けくれて早7年余りが経ちました。
良之助が家族を、あらためて居間へと集めました。
琴もその場に呼ばれます。
正月をまじかに控えた囲炉裏端で、初めてともいえる
家族会議がはじまりました。



 「異郷の、この東北にまで足を運ばせて、
 お前たちには、ずいぶんと苦労をかけさせた。
 本日、お前たちに集まってもらったのは、ほかでもない。
 故郷への帰還について願い出ていたが、
 先日、県より正式に許可が出た。
 よって年明けには、全員がうち揃って
 故郷の深山村へと戻ることに、あいなろう。」



 「帰れるのですか!」



 琴が身を乗り出して、瞳を輝かせます。
妻のお佳代が両手をついて、深々と頭を下げました。



 「長きにわたるお勤め、
 ご苦労さまにございました。
 わたくしも、この子たちもたいそうに安堵をいたしました。
 晴れてのご帰還、まずはおめでとうございます。」



 「うむ、お前にはなかなかに苦労をかけた。
 150名も居た新徴組も、いまでは我が一家を含めても
 わずかに、5軒を数えるまでに激減をいたした。
 いままでに、一度たりとも泣き言もいわず、
 慣れぬ土地にて、よくぞ辛抱を貫いてくれた。
 この良之助、心より感謝を申す。」



 「もったいない・・・」


 子供二人を招き寄せると、
良之助が、ようやく安堵の笑顔を見せました。



 「お前たちも、よくぞの辛抱をいたした。
 さすがに法神流の跡継ぎで有る。
 なれども、すでに世は
 剣術の時代にはあらぬのが、いささか残念で有る。
 こうなれば、一家そろって、
 老農に教えを請うて、野良に出て
 琴のように、百姓の修業でもいたすとするか。」




 「あ・・・兄上!」