小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

舞うが如く 第六章 13~16

INDEX|7ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 




 「そういえば、琴どのの故郷、
 上州には、官営の生糸工場が出来たそうでありますぞ。
 蒸気と器械で糸繰りをするそうですが、
 なんと世界いちを誇る最新の技術にあるようです。
 ここの松ヶ丘の開墾場からも、
 昨年より、幾人もの女子たちが技術習得のために、
 そちらへ派遣された模様でもある。」



 「生糸を、
 繭より取りだす方法が
 機械によってできるようになるのですか!」


 「外国人が講師となり、
 全国より模範工女を育てるために、
 おおくの女子たちを受け入れているそうである。
 聞いた話ではあるが、
 なんでも最新式の西洋の器械を使えば、生糸を簡単に
 大量に生産できるようになるという話である。」



 「ずいぶんと、近代的なのですね」



 「それが、新政府の言う、文明開化であろう。
 米の生産技術は、国内を豊かにするが、それ以上のものにはありえない。
 生糸は昔より我が国の誇る、貿易の宝物とも言えるものだ。
 大量に造ることが、国の力にもなるという。
 ここの松ヶ丘にも、やがて洋風の技術を取り入れた、
 生糸の製糸工場がいくつも建つことになろう。
 米は、わが身を守るものであるが
 生糸は、この国の行く末を豊かにするために 
 是非ともに必要な物になるのであろう。
 まことに、大地からは色々な物が育つものである。
 不思議な力がたくさんあるのう・・・
 この大地には。」