舞うが如く 第六章 13~16
舞うが如く 第六章
(15)米と生糸
庄内地方を大きく揺るがせたこのワッパ騒動の、
最大の激戦地となったのは、この酒田監舎での衝突でした。
一万数千におよんだ農民たちは、鎌や竹やり、手製の武器などを持って
指導者たちの奪還を叫んで、県内各地から潮のように
酒田監舎へと押し寄せました。
しかしその農民たちの決死の峰起も、
最新鋭の火力を誇る警官隊と、
3000人の松ヶ丘開墾場の士族たちの武力の前に
あえなく制圧をされてしまいました。
結果的に、双方ともに大きな犠牲者や怪我人をだすこともなく、
やがて暴動はその勢いを失いました。
鎮静化をみせはじめた農民たちの運動は、
9月に入ると、新たな方向へ闘争戦術の転換を見せはじめます。
運動を指導した旧庄内藩の反県士族と、
農民の代表20名が、第2次酒田県の対応を訴えるために上京をしました。
訴状は新政府に受理されましたが、同時に全員が検挙されてしまいます。
ワッパ騒動は、再び逮捕者の放免を求める運動へ、
方針の転換を余儀なくされてしまいます。
また、10月から12月にかけては農繁期でもあるために、ワッパ騒動は、
次第にその行き詰まり感を見せてきました。
作品名:舞うが如く 第六章 13~16 作家名:落合順平