舞うが如く 第六章 10~12
舞うが如く 第六章
(11)地租と石代納(こくだいのう)
富国強兵政策を強硬におしすすめる明治新政府は、
そのための財源確保が急務となり、各方面でそれらの模索を開始しました。
そのひとつとして、大蔵省や民部省では全ての土地へ賦課をして、
一定の額を金納させる新しい税制として、
「地租」の導入を検討していました。
旧来までの土地の賦課への是非は、
大名や領主たちの権限と考えられていました。
従来の検地に代わる大規模な測量の必要性などもあることからも、
政府内では賛否両論があり、容易にまとまる気配がありませんでした。
1871年(明治4年)に、廃藩置県が実施されると、
国内からは、旧藩主や大名たちが一掃をされてしまいました。
さらに同年には、江戸時代までは禁止とされてきた、米を作るべき田畑での
木綿や煙草の栽培、菜種等の商品化作物の栽培を許可する、
「田畑勝手作」を施行しました。
さらにその翌年には、田畑の永代売買の禁止も解除をしてしまいました。
年貢負担者を土地所有者として認定するようになり、
土地の私的所有を認めるようになったのです。
土地の所有と、租税のための下準備を積み上げてから
新政府は、ついに新しい税制としての「地租」の導入を決定します。
封建時代から年貢制度として長年続いてきた物納(ぶつのう)から、
それに見合う貨幣での納入制度、「石代納(こくだいのう)」
が制定されました。
作品名:舞うが如く 第六章 10~12 作家名:落合順平