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掌編集【Silver Bullet】

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「そーいうこと。えーっと、続きが……『夏の怪物の表記の揺れに付いて。夏の怪物を夏の化け物と表現した箇所が多数あり、混乱させてしまったことをお詫び申し上げます』だって」
「気付かねぇよ! どっちも同じようなもんだろっ! というか意味の違いってあるのかよ!」
 意味の違いなんてほとんどないだろうな。
「ええぃ、次っ! 『神様の企業努力』……何これ?」
「えーっと、『神様がいるのかどうかはあなたしだ――』」
「またかよっ! これまで三つに言えることだけど、無責任すぎやしないか?」
「まあ、神様とか幽霊とか肯定しちゃったらそーいうのがチープになっちゃうんじゃないか、という考えと、同時にそれらの存在を否定しちゃったら怪談奇談として破綻しちゃうだろう、という考えがあるかららしいよ」
「神経質なやっちゃなぁ……」
「何気も何もさわっちの初登場回だね」
「そうだな。今回の話は会話が中心だから、それ以外には特にこれと言って語る場所がないな」
「分量も短いし、大体のことは作中で語ってるしね」
「ところで、このカルトとかあのカルトとかって、どこのこと指してるの?」
「……」
「ちょっとマテこっち見やがれ」
「言えるわけないじゃないかっ! マジでヤバイ所とか指してるしっ!」
「だから態々タグに『フィクション』って入れやがったのかあのお菓子野郎っ!」
「危ない橋を渡ったそうです」
「その橋の向こうには何もないのにな。無駄な橋を渡りやがって……ところで、急にがらりと作風変えてきたけど、何が起こったの? 悪いモノでも拾い食いでもしたの?」
「何でも、別所で書かせてもらっていた『脳内コント日記』というのをしばらく書いてなかったからこーいう文体で書きたくなったそうです」
 まあ、そういう意味ではこの解説も同じようなものか。
「次、次っ! ドラッグ・オブ・ラビットに付いて……雑な仕上がりだったな」
「言っただろ、プロットが迷走しているって。メタフィクションを目指して失敗している感が強い作品だね」
「メタなネタも多用しているね。見返してみると面白くないこと」
「掌編集に至って、その辺のネタは削減と相成りました」
「妥当だな……」
「まあ、まさかこれが最後の話に繋がるとは思わなかったけどね」
「ああ、あそこね。なんでワザワザ拾ったの?」
「『私』の行動に不服があって、最終回でしっかりと行動させたのだとか。複雑みたいよ、普通ならああいう行動をするのが妥当なんだけど、何か気持ちの悪い終わり方になってしまったのが心残りだったとか」
「だからこの話自体を複線にして、最後の話に繋げたと。後付も甚だしいな」
「あのお菓子野郎は後付設定とかには躊躇がないらしいよ? 話として矛盾なく収まりのいいところに収まれればどっちでもいいってさ」
「無計画の窮みだな。まあ、複線貼るだけ貼って回収せずに終わるよりマシか」
「開き直ってるけどね、それ」
 まあ、後付設定も極めれば立派な複線足りうると思っていただければ幸いである、とのお菓子野郎の弁である。
「で、次が『抱き枕の匂い』。これは……まあ解説するだけ無駄か」
「そうだね、次」
「待ってくださいっ!」
 ガタガタと、まるで未来のネコ型ロボットのように、押入れから飛び出してくる小娘。惜しむらくは引き戸ではなかったことか。
 まるで自分の家と言わんばかりにコタツの中にそいつは潜り込んだ。
「酷いですよっ! ただでさえ出番が少なかったのにっ!」
「いや、だって扱いが難しいし」
 基本的にコメディー側の人間……いや、化け物だからだ。
「『怪奇現象』はこの作品の中ではそのまんまの形で出せないからね。だから『抱き枕の匂い』では夢オチ。君は存在しない扱いなんだよ」
「酷いっ! 私相当頑張ったんですよっ! きっと読者の皆さんにも覚えてもらっている筈ですっ!」
「ああ、こんな奴いたな、と思われているな」
「そんなことはないはずだよぅっ!」
 まあ、いきなり「はきゅーん☆」とか言い出しそうなキャラが出てきても困るし。だったらなんでこんなキャラ作ったんだよと、小一時間ほどあのお菓子野郎を問い質したくなる。
「もう仕方ないのです、しばらく居座ってやるのです」
 そう言いながら、抱き枕(仮)ちゃんは残り物の水炊き鍋をつつき始めた。私の箸とお椀を持っていくな。
「次、は……『鏡よ鏡よ鏡さん』。久しぶりに怪談に戻ってるな」
「これも夢オチだったけどね」
「ただし、こっちは抱き枕と違って夢の内容は覚えているけどな」
「な、なんですかっ! なんであっちは覚えてて私は覚えてないのですかっ!(はふはふ)」
 語尾に括弧で「はふはふ」とか付けながら喋らないで欲しい。
「(はふはふ)なんなんですかっ! あのお菓子野郎呪ってやるのですっ!(はふはふ)」
「ええぃっ! はふはふうるせぇっ! 黙ってやがれっ!」
「(はふはふ)」
 食うのはいいが、匂いが染み付いたりしないのだろうか。鍋の匂いが漂ってくるアニメキャラの抱き枕はちょっと嫌だぞ……。
「……」
「あっ! 今「どうせ使わないからいいか」とか思いましたねっ!」
「そんなことどうでもいいから、さっさと解説に移らせろ」
「(はふはふ)」
 その一言に、黙って鍋を食い始める抱き枕(仮)ちゃん。うーん、シュールだ。
「えーっと、今回のテーマは、『自己との対面』だそうです」
「鏡というだけあって、まあ面白みのないテーマになったな」
「当初は鏡に纏わる怖い話でも作るか、と思って書いてたらいつのまにかこんな形になってたのだとか」
「もう何もつっこむまい……で、なんで今回はこんな固○結界モドキをやろうと思ったんだよ」
「心象風景の具現化とか、中二心をくすぐるテーマを一度は取り扱ってみたかったんじゃない?」
 そういえば、あのお菓子野郎はあそこのブランドの信者だったか。結構その辺のネタを流用しているようだったが、分かった読者はどれほどいたのだろうか。
「自己との対面の末に、『私』は自身の目標を得るという結末と思うんだけど、どうなんだよ」
「えーっと、筆者のお菓子野郎は若干引きこもりの気があって、「県外に出たくねぇ」っていつもほざいてます」
「ダイナミック引きこもりという称号を与えよう」
「で、今回は『私』に対して自身とは全く逆の目標を与えた、と言っているわけなのだけれど……」
「今考えやがったな、あいつ……」
「あのお菓子野郎がそんなこと考えて話を書いているとは思えないのです」
 抱き枕(仮)ちゃんにすらこう言われるとか……。
「さて、次だ次。えーっと、『暗闇の中に潜むモノ』。これはどういう話なんだ?」
「暗闇の中に何かがいるような気配を感じるとか、何かがいたらどうしようかとか、そんなお菓子野郎が日頃抱いている妄想を形にして考察したのがこの話だって」
「まあ、これも特に言えることはないよな?」
「今回もホラーを書こうとして失敗してる感があるね」
「要は暗闇が怖いってだけの話ですし、何より作中で暗闇に付いて考察するのがこの掌編の本筋で、その辺を更に解説するのはちょっと無理があります」
「そもそも、この掌編集はそういう考察モノも結構多い気がするね」
作品名:掌編集【Silver Bullet】 作家名:最中の中