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ペッパーミント

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まだ春の陽射しは遠いけれど、暖かく穏やかな日の昼下がり。
駅前のオブジェの前が待ち合わせ場所。
その場所を目指してひとりの女性が歩いている。
名まえはモモコさん。
モモコさんと待ち合わせをしているのは、高校時代の部活の友人、ミドリさん。
性格的には似てないけれど、それが互いに「気が楽」と何となく続いている。
女の子特有の相性判断ではどんなものか気にもしてないふたりだが、血液型はふたりとも
AB型。星占いの星座で言えば、モモコさんは天秤座でミドリさんは射手座。
まあ、ここに書いたからと言って占いやそれらしいことを掘り下げるつもりはない。
忘れてくれても構わない。そんな程度だ。

モモコさんが、待ち合わせ場所に着いた。ミドリさんの姿はまだない。
いつもと変わらない。
ふたりしか居ないのだから、一方が早ければ一方はあと。それは当たり前。
じゃあ、ミドリさんが先に来ていることはないのか。たった一度だけある。
モモコさんがメールで待ち合わせ時間を連絡したとき、少々乱視のミドリさんが
「1時ね」を「11時ね」と見間違えた一度だけ。
ミドリさんは、その二時間がとても長く寂しかったと、その日観に行った映画館でずっと鼻水ずるずる泣いていた。映画は、思わず笑い声が出てしまうコメディだった。
それから、ミドリさんは、約束の時間に三分だけ遅刻する。根は几帳面なのだろう。
モモコさんの姿を見つけてから現れるようになった。

作品名:ペッパーミント 作家名:甜茶