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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導装甲アレン2-黄昏の帝國-

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「どこかに隠されてんだよ、砂の中に埋もれてるとか!」
「目印もなにもない場所で俺様は無駄骨なんて折りたくないぞ」
「なら俺が見つけても乗せてってやんねえからな!」
 アレンは独りで砂を掘りはじめた。
 それを尻目に一服するトッシュ。
 セレンはどうするか迷っていた。
「あの、アレンさん?」
「なんだよ?」
「手伝ったほうがいいでしょうか?」
「あったり前だろ」
 手伝わないで見つかった場合、セレンも置いて行かれそうだ。
 砂を延々と掘り返す作業。
 掘っても掘っても砂ばかり。さらに掘ると同時に砂が崩れて穴が埋まる。
 五分でセレンは力尽きた。
 その前にアレンは三分で飽きていた。
 結局、乗り物は見つからなかった。
 休憩をしていたトッシュが立ち上がった。
「お前ら本当に莫迦だな。リリス殿、リリス殿、どうか助けてくれないか?」
 深々とした。
 返事はない。そこには家すらない。なにもない砂漠。
 トッシュが大きな口を開けた。
「婆さん近くにいるんだろう! アレンを救ったのに、今度はその救った相手まで見殺しにするつもりか!」
 トッシュの声以外は静かなものだった。
 あきらめたトッシュは胡座をかいた。
 アレンはまた何かを閃いたようだ。
 〈グングニール〉の銃口が何もない空間に向けられた。
 本当にそこには何もないのか?
「故意で撃ったら容赦せんぞ、アレン?」
 アレンは背後に殺気を感じて振り返った。
 老婆の顔が目と鼻の先にあった。
「わっ!」
 驚いてアレンは腰を抜かして尻餅を付いた。
 もちろんそこにいたのは妖婆リリスだ。
 すぐにセレンが駆け寄ってきた。
「リリスさん、わたしたち帰れなくて困ってるんです!」
「わしには関係ないね」
 救った相手を見殺しにする。気まぐれな老婆だ。
 トッシュも割り込んできた。
「近くの町でも村でも着けるならどんな乗り物でもいい、礼はするから貸してくれ」
「わしの眼鏡[メガネ]にかなう礼ができるというのかい、このわしじゃぞ?」
 こんな辺境に住んでいても、リリスならば不自由な生活をしているとは思えない。金や物資では取引はできないだろう。リリスほどの実力があれば、手段は違えどトッシュに叶えられることなら、自らで叶えることができそうだ。
 トッシュが言葉に詰まった。取引相手が悪すぎる。
 しかし、次の瞬間にはリリスの態度が変わった。
「車を貸してやろう。ただし、わしもいく。運転の仕方を教えるのも壊されるのも面倒じゃ」
 気まぐれな女だ。