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舞うが如く 第六章 7~9

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舞うが如く 第六章
(8)「藩籍奉還」と「廃藩置県」



 明治新政府は、幕府から受け継いだ天領と、
朝敵となった諸藩からの没収地へ
それぞれ行政官を派遣してそれらを直轄地として支配をしました。
富国強兵を目的とする近代国家建設を早急に実現するためには、
中央集権化による地方支配の強化が急務でした。



 最初に実施された「藩籍奉還」は、
旧藩主たちが、藩(土地)と籍(人民)を、天皇に返上したうえで、
あらためて藩知事として任命されるというものでした。
さらに中央集権化を強めるために、その後に「廃藩置県」が実施されます。
3府72県にわたって、中央政府から知事を派遣するという
制度も実施されました。



 また江戸幕府下の「士農工商」による身分制度は廃止され、
「四民平等」が、宣誓されました。
しかし、明治四年の戸籍法では、旧武士階級は士族としてあつかわれ
それ以外は、平民と呼ばれます。
旧公家や大名は、あらたに華族として特権階級になりました。
こうした急激な構造の変化が相次ぐ中でも、特定の地域や地方では、
旧藩主たちによる支配勢力が、生き残りを企だてていました。



 戊辰戦争の戦後処理を上手にくぐりぬけ、
旧支配階級や武士集団を温存させた、庄内藩と藩主の酒井家の
とった手法は、まさにそうしたものの代表でした。



 明治2年(1869)4月に
庄内藩主・酒井忠宝(ただみち)は「版籍奉還」を請願して、
6月にはそれが認められました。
同月15日には、磐城平へ8月までに転封するようにと命じられます。



 しかし7月22日になると、
代償金70万両と引き替えに、藩主としての庄内復帰が認めらてしまいます。
さらに同月の24日には、正式に庄内藩知事として任命を受けます。
同年の9月29日には、政府の「藩名改めの命」によって
同藩名を「大泉藩」と改称することになりました。
管轄地高を12万石としたうえで、ひきつづき最上川南の地域にある、
301カ村を統治することになります。