OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第5話・第6話)
■レイナの過去その2(後半) 築城都市マノーラ(9年前) 公園<シーンNo.5-9>
ベンチに座っているルリとレイナに、前の方に立って背中で語るソヴェット。
ソヴェット「・・・・・・『彼女』の言葉と繋いでくれたこの命のために、オレは戦っているんだ。どんな小さな事でも、人々の幸せのために命を燃やして事を成すこと・・・・・・それがオレの『信念』ってやつさ・・・・・・『彼女』が好きだったこの世界―ペシィミズム地方の平和のために・・・・・・」
レイナ「ソヴェット・・・・・・」
ルリ「・・・・・・」
二人は男の背中の真剣に見つめる。
ソヴェット、気さくな感じで二人の方へ顔を向ける。
ソヴェット「(髪をかきながら)ははは・・・・・・わりぃな。辛気臭い話をして・・・・・・」
ルリ「ううん・・・・・・ありがとうございます。だから、ソヴェットさんって心が強いんですね」
ソヴェット「いやいや、オレもまだまだだぜ」
ルリ「いいえ。十分お強いですよ。アタシも心の中にある『信念』を改めて見つめ直さなきゃと感じました。明確にして、貫かないと・・・・・・この仕事は全うできませんしね」
ソヴェット「ああ。オレが思うジャスティスと言う組織はまさにそうだと思う。ルリもしっかり貫けよ。人の為に・・・・・・」
ルリ「はい!」
レイナ、顔を下に向いて、
レイナ「・・・・・・だったら」
ソヴェット「(レイナを見ながら)ん?どうした、レイナ?」
顔をソヴェットの方へ向けて涙をこぼしながら、
レイナ「だったら、あまり無茶なことはしないって約束して、ソヴェット!!」
ソヴェット「え?」
レイナ「(ソヴェットを見つめながら)確かに自分を曲げずに人の為に生きていくことは、すごいと思うわ。でも、自分が勝手に死んだら、貴方の想っている人たちの気持ちはどうなるの?一人で死ぬような真似はしないでよ・・・・・・ジャスティスの皆は、貴方に無茶してもらうほど弱くはないはずよ!頼れる『仲間』に頼ってよ!」
ソヴェット「・・・・・・」
レイナ「(泣きながら)・・・・・・だから約束して。『彼女』のためにも、無茶なことはしないって・・・・・・」ソヴェット「・・・・・・レイナ」
ルリ「(レイナを見ながら)レイちゃん・・・・・・」
ソヴェット「・・・・・・レイナ」
レイナは顔を下に向け、俯(うつむ)く。
ソヴェットは、レイナの頭をそっとなでる。
ソヴェット「そうだな・・・・・・レイナ、おまえの言う通りだな。自分の気持ちばかり、他人に押しつけて、オレを想っている者たちのことを考えていなかったな・・・・・・もっと、仲間を信頼しないとな、オレも」
レイナ「・・・・・・」
ソヴェット「約束するよ、レイナ。これからは、あまり無茶はしない。『彼女』の分まで、生き続けるためにも・・・・・・」
レイナ、ソヴェットに抱きつく。
レイナ「約束だよ」
ソヴェット「・・・・・・ああ」
ソヴェット、微笑む。
※このシーンのまま、今(17歳)のレイナが語りだす。
レイナ(声のみ)「ずっと側にいてほしいから、彼にこんな事を言ったんだと思う。いつまでも『彼女』のことをずっと思っているように、わたしの事もずっと見てほしいという、『彼女』への嫉妬心から・・・・・・」
※画面が暗くなる。その中で、今(17歳)のレイナが語りだす。
レイナ(声のみ)「そして彼は、わたしとの約束を胸に、守るべきものを守っていった。そして、仕事が終われば笑いあう楽しい日々が続いた。こんな日々がずっと続けばと思った。しかし・・・・・・二年後に悲劇が起きた。父さんの政治のやり方が良くないと思っている連中―過激派による『マノーラ襲撃事件』により・・・・・・」
※『レイナの過去その3』へと進む。
■レイナの過去その3 築城都市マノーラ(7年前(グレイン暦2003年)) 中央区<シーンNo.5-10>
襲撃事件が起こり、過激派が街を大混乱にさせている。
彼らは、街の外へと逃げる人々を銃で撃ち殺したり、建物を焼いたりと、やりたい放題していた。まるで、この街をなかったことにしようとするかのように。
そんな彼らにアフロディテの軍人が果敢に応戦している。そのなかにはジャスティスの団員もいた。
ソヴェット(当時30歳)「ふん!!」
豪快に過激派を殴り倒す、ソヴェット。
ソヴェット「(叫ぶように)みんな!軍と協力して過激派を倒しながら、市民を避難場所へ誘導させるんだ!」
ジャスティス団員たち「はい!」
過激派を倒しながら、人々を導く団員。
ルリも結晶術で過激派を倒し、市民を避難所へ導く。
ルリ(当時23歳)「こっちです、さあ!」
避難所へと案内するルリ。
※画面が一瞬、暗くなる。
やがて、過激派を取り抑え、全ての市民を避難させる軍とジャスティス。
ソヴェット「ふう・・・・・・街も静かになったな」
ルリ「はい・・・・・・これでもう街は大丈・・・・・・」
???(レイナ(声のみ))「は、離してよ!」
ソヴェット・ルリ「!!」
声のほうへと顔を向ける二人。
レイナが過激派に抱えられ、捕まっている。
過激派の面々は7人ほどいる。
ソヴェット「(怒鳴ったように)レイナ!なんで、勝手に外へ出てんだよ!!」
レイナ(当時10歳)「(泣きそうな表情で)だ、だって・・・・・・みんなが心配で・・・・・・」
ルリ「今、助けるわ!」
ルリが魔法棍棒を持って、詠唱したそのとき、
過激派A「おっと、動いたらコイツの命はないぜ」
ルリのほっぺに銃を向ける、過激派。
レイナ「ひゃあ!」
ソヴェット「くっ!卑怯だぞ・・・・・・」
ルリとソヴェット、苦々しい表情で過激派の連中を見つめる。
過激派B「さあ、こいつが殺される前にとっとと市長をこっちによこしな!」
ソヴェット「くっ!どうすれば・・・・・・」
右の後ろポケットに手を入れるソヴェット。
ソヴェット「!」
ソヴェット、何かがあることに気づく。
ソヴェット(そういえば、軍から・・・・・・)
ルリ「・・・・・・ソヴェットさん、どうしますか?」
ソヴェット「フフフ・・・・・・」
ルリ「え?」
ソヴェット「ハーハッハッハッハッ」
突然高笑いをするソヴェット。
過激派A「なっ、なにがおかしい!」
ソヴェット「ふっ。やっぱり、運が向いているのはオレたちの方みたいだな」
過激派B「なっ、なにぃ?」
ソヴェット「レイナ!今、助けてやる!これでも、くらえーっ!!」
ソヴェット、右ポケットにあった丸いものを過激派たちのいる方向へ投げる!
すると、丸いものは空中で閃光のように爆発し、周りが白い煙に包まれる。
過激派たち「うわああああ!」
白い煙のなかにいる過激派たちは、光を直視したおかげで目を瞑り、周りが見えなくなる。
レイナ「ケホッケホッ!」
白い煙を吸い、レイナは過激派に抱えながら咳き込む。
ソヴェット(声のみ)「レイナーっ!」
ソヴェットがレイナの前に現れる。
レイナ「ソヴェット!」
ソヴェット「待ってろ、今助ける!」
作品名:OATH~未来につなぐシルベ~第一章(第5話・第6話) 作家名:永山あゆむ