彼女のいきかた
彼女に、気になるひとができた。
好きという言葉には制限がかかる。せめて好意という範囲までなら許されるだろうか。
心の中に秘めているくらいはいいだろう。
（そうよ。私のアイドルだから。芸能人じゃないだけ。匠への憧れ）
言い訳をつけて彼女は片想いした。
だが、歯車は噛み合ってしまった。
相手も好意を持っていることがわかってしまった。
二人は悩みながらも、友だち、恋人、不倫…などという呼び名のない関係で過ごした。
知り合い？
実際、世間からは何らかの呼び名はつけられるのだろうが、一緒に居るだけでよかった。
彼女は、夫を嫌いではない。子どもも とても大切だ。愛している。
だけど、心が揺らぐ。彼女はこのままで何も感じず過ごす生活に疑問を持った。
衝動が高まり、無茶を承知で夫との結婚契約を解消した。
夫の怒りは、激しく。子どもの反応は冷やかだった。
だが、彼女は、いつも通りに生活を続けた。