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彼女のいきかた

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彼女は、回想する。
子が生まれ、お世話することが楽しかった。
病気や怪我には、はらはらどきどき心配した。
ひとりで立ち上がった、歩いた、走ったと喜んだ。
ひとつひとつ教えることを覚え、できるようになると「うちの子天才」と親馬鹿にも
なった。
幼稚園でお友だちができた、喧嘩したと話すのを嬉しく聞いた。
小学校でみんなと同じようにできることに感心した。
中学校で先生に呼び出されて駆けつけた。(あの時は、びっくりしたな)
高校で様子が可笑しいかと思えば、告白されたらしいと知った。
進路に悩んで少し荒れたが、彼女は理解し見守った。
大学へと進路に定め、行動範囲も広がった子を心配したり、頼もしく感じたりした。

そんな子どもの成長とともに彼女も家で過ごすだけでなく、パートの仕事を始めた。
ずっと主婦で、子どもの成長だけを見てきた彼女が社会に出るのは、それなりの決心が要った。
仕事は、覚えるほどに面白く、職場で出会う人たちとのつきあいも楽しくなった。
夫は、世間の犠牲か、会社のわがままか、本人の事情かは問い詰めることはしなかったが、職場をふたつほど変わった。
「大丈夫。私も働いているから」
彼女は、夫を支える良き妻になった気がした。

作品名:彼女のいきかた 作家名:甜茶