彼女のいきかた
彼女は、家を出るわけでもない。
気になるその人と一緒に住むわけでもなく、相手の家族に何かを要求することもしない。
自分勝手な『けじめ』だった。
自由というのはどんな定義で手に入るのだろう。
彼女の思考の範囲で考えた結論だった。
いつか気になる人とは、逢わなくなるだろう。
もともとそういう関係ではない。
子どもだって近い未来には、大好き、愛する人の為に過ごすようになるだろう。
彼女は思う。
「あなた、私はとても愛しています」
「ずっとあなたのお母さんよ」
「理解なんてされないだろう。後ろ指くらい差されるのは承知」
だけど・・・。
彼女は、人生最後の日をただ『自分』で終わりたいと願った。
彼女は呟く。
「おかあさん、私いけない子だった?産んでくれてありがとう。
こんなにも素敵な人生を送れるなんて幸せよ。
貴女の娘で良かった。本当にありがとう」
― 完 ―