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「姐ご」 13~16

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 「バンカーの練習をしたんだが、いくら打っても上手くいかねえ。
 おめえ、砂場だけは上手だろう。
 教えてくれよ、頼むから・・・・」



 「いいけど、ちょっだけ待ってくれ。
 一つだけ気がかりが有るんで、
 そいつを片づけてからでもいいか? 」



 「珍しいね。
 お前さんが遊びよりも仕事を優先するなんて。
 なんかあるのかよ、古い蹄鉄を真剣に調べているなんて」



 「うん、少し気になってなぁ。
 二つ合わせて1億の馬だ。
 もしかしたら、もしかするかもしれねぇ・・・・
 俺の、思いすごしならいいが」




 「ん、例のハイセイコーの孫たちか?
 それがどうした。
 何か問題があるのか、
 脚か? 」


 「ど素人のくせに、妙に核心を突くね~」



 「おまえの専門は蹄鉄で、仕事は馬の脚を見ることだろう。
 問題があると言えば 誰でも脚だと思うだろう」



 それもそうだと呟きながら、装蹄師が工藤厩舎に向かって歩き出します。
瓦屋も黙ってその後を着いていきます。
厩舎へ着くと、事務所には寄らずそのまま馬房へ直行します。
足音を聞きつけて、もう馬たちは足元を気にし始めました。
馬は物音を聴き分けて、人の姿が見える前から
もう気配を察して反応をします。




 問題の馬房の前に来ると、
仕切りをくぐって馬の脚もとに潜り込みました。
鼻息を荒げて、馬が装蹄師の背中に歯を立てると遊んでくれというように
そのシャツを引っ張りあげました。


 「こらこら、後で遊んでやるからちょっと待て。
 おい、瓦屋、 俺の代わりにこいつの鼻筋を撫でてやってくれ。
 こいつ、ちやんと愛撫するまで
 しつこく要求するタイプの馬だから気を抜くな。
 頼んだぜ。」


 「お安い御用だが・・・
 こいつのどこからどこまでが鼻筋なんだ。
 顔が長すぎて、よくわからねえ」



 「鼻筋の部分だけが、白くなっているだろう。
 そこがこいつの性感帯だ。
 女を撫でるように優しく愛撫してやってくれよ。
 いい加減にやると、こいつに噛まれる」



 「面倒臭い奴だな・・・・どれどれ」



 慣れない手つきで瓦屋が言われた通りに、馬の鼻ずらを愛撫します。
馬もにっこりと目を細めます・・・
その間に、装蹄師が馬の前足を丹念に指で診察をしています。
それはいつになく丁寧で、長い時間がかかりました。



(16)に続く


作品名:「姐ご」 13~16 作家名:落合順平