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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「ところで、マキちゃんは……、脱皮はしないの?」 
 突然、「脱皮はしないの?」と訊かれたマキコ・マネージャー。なにか自分が蛇やザリガニのように思われている気がしたのだろう。
「高見沢さん、それどういう意味よ。残念ながら私は地球種のホモサピエンスよ。だから脱皮できない生物なの」
 マキコ・マネージャーがムカッときたようだ。しかし、高見沢はそんなマキコ・マネージャーを無視し、少し話しを変え真顔で聞いてみる。
「マキちゃん、結局のところ、青バラの花言葉の【究極の愛】って、何だと思う?」
 マキコ・マネージャーはいきなりこんな質問を受け面食らっている。しかしここは気を落ち着かせ、優秀な管理者らしく卆なく返してくる。

「究極の愛とは、永遠に滅びない愛のことだと思うわ」
 その通りなのかも知れない。しかし、高見沢はそんな答えだけではもの足りない。
「うーん、もうちょっと思考の深堀りが必要なのかもな」
「じゃあ高見沢さんは、究極の愛って何だと思うのよ。言ってみてよ」とマキコ・マネージャーがせっつく。高見沢はこれを受け、待ってましたとばかりに自分の考えを披露するのだ。

「究極の愛、その答えはクラマ姫にあったんだよなあ。それは脱皮を為して行く力、つまり『愛のための脱皮力』、愛する人のために、その時々で自ら古い皮を捨て、新しい自分に生まれ変わって行く、それを実行することこそが、愛する人への【究極の愛】だと、今思うよ」
「ふーん、高見沢さんて、たまには良いこと言うじゃん、見直したわ」
 マキコ・マネージャーは高見沢の持論に二の句がつげない。しかし、高見沢はそんなマキコ・マネージャーにおっ被せるように、「ホントそうなんだよなあ、やっぱりマキちゃんは、もうそろそろ脱皮した方が良い時期にきてると思うんだよなあ。だけど残念なことに、脱皮がお嫌いのようで。もしマキちゃんが脱皮するのだったら、俺、チン突起の付いた石っころになって、精一杯お手伝いさせてもらいたかったんだけどなあ」

「アホ! このスケベオヤジ! 『愛のための脱皮力』の話しの結末が、なんでチン突起になってしまうのよ。そんなことほざいている暇があったら、次のグリーン・アイズ・プロジェクトをどうするか、考えなさいよ!」
 マキコ・マネージャーが怒り出し、そしてなぜか涙さえも浮かべている。高見沢はこれはちょっとまずいことになってきたかと思い、再度まじめに。
「マキちゃんとのグリーン・アイズ・プロジェクト、今回初めての任務だったけど、結構面白かったよ。だから、マキちゃんへの『マメでヨイショでプレゼント』、これ、そのプレゼントだよ」
 高見沢はそう告げて、隠し持っていた青バラをマキコ・マネージャーに差し出した。