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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「一体これどうしたのよ? 我が邪馬台国の青バラより色が深いわ」
「これは鞍馬山台国のUFO船内の花園で、マキちゃんのために摘んで参りました。遺伝子交換をしていない正真正銘の宇宙原種の青バラだよ」

 高見沢も時々こんな粋なことをする。そしてプレゼントの効果は覿面(てきめん)。マキコ・マネージャーは一転して実に嬉しそう。
「じゃっ、マメでヨイショでプレゼントの裏返し版でお返しをさせてもらうわ」
「えっ、そんな裏返し版があるの? 初耳だよ」
「そうよ、クラマ姫が教えてくれたの。地球の裏返しのウユキチ星で流行ってるんだって、女性が男性を落とす基本よ。それはね……『泣いて じらして あと色気』、その色気で、高見沢さんを悩殺しちゃおっかな?」

 邪馬台国の管理職、マキコ・マネージャーからこんな意味深な発言が飛び出してきた。そして事もあろうか、それはそれはセクシーに、その青バラを胸の深みへと埋没させてしまうのだった。
 それからしばらくして、マキコ・マネージャーは少し冷静さを取り戻し、「なんで私に青バラを?」と訊く。
「意味は、やっぱり青バラの花言葉だよ、マキちゃんに、それを捧げます」
「へえー、そうなんだ、高見沢さんが私にね、嘘であっても嬉しいわ。それで私に捧げてくれる究極の愛って、具体的に何なの? まさか脱皮じゃないでしょうね。私、男の脱皮なんて見たくもないわ」
 マキコ・マネージャーにいつもの調子が戻る。高見沢は姿勢を正し、そんなマキコ・マネージャーに真正面に向き合う。そしてゆっくりと話すのだ。

「摩訶不思議な御縁で、僕は君と知り合った。そして、このグリーン・アイズ・プロジェクトを一緒に進めて行くことになったよね」
「うん、そうだわ」
 マキコ・マネージャーは軽く頷いた。
「だからこれからも、このプロジェクトを通して、最高の心の高鳴りを、いつも君に捧げたいと思ってるんだよ」
 マキコ・マネージャーがこれを聞いて黙り込んでしまった。時間が二人の間をゆらゆらと流れて行く。そして、その流れがふと静止した時に、マキコ・マネージャーは少し潤んだ声でぽつりぽつりと小さく呟くのだ。

「高見沢さん、約束してくれたのね。女王様からのミッション、そのプロジェクトを通して、これからもいろんな事があるでしょう。だけど、その時々のハラハラ、そして達成することによる心の高鳴り、それを私に捧げるって。これひょっとしたら、その最高の心の高鳴りを与えてくれる行為こそが、私たちにとって脱皮を超える究極の愛なのかも知れないわ。だから私も約束する、これからも一緒に頑張って行きましょう。そして、その究極の愛を……、私もあなたに捧げます」

 こうしてグリーン・アイズ・プロジェクトは、今後も続いて行くことになったのだった。


おわり