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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 グリーン・アイズの可愛いクラマちゃんが、あの蛇やザリガニと同じ脱皮をすると言う。高見沢はどうしてもイメージが湧かない。しかし、ここは任務遂行のために、「脱皮の何を手伝ったら良いの?」と尋ねてみた。
「高見沢さん、この野原を眺めてみて、あるのは鋭い棘のある青バラだけでしょ。脱皮するにはね、古い皮をこすり付けたり、少し引っ掛けたりする、ゴツゴツはしているが、何かまろやかな物がいるのよ。そう、例えば岩とか石とかね」
 高見沢はこんなクラマの持って回ったような言い方ではわからない。
「えっ、それってどういう意味?」

「いい、怒らないでね。私のまろやかな物になって欲しいの。もう少し具体的に言えばね、そうねぇ……、石っころになって欲しいのよ」
「俺が、石っころに?」
 高見沢は耳を疑った。クラマはそんな高見沢の言葉を聞き流し、「さっ、よろしくね。お互いに頑張りましょ!」と告げる。そして後は、さっさと服を脱ぎ始めるのだ。

 高見沢一郎は百戦錬磨の企業戦士。しかし、そんな高見沢でもこれには驚いた。
「おいおいおい、いきなり裸になって、どうするんだよ?」
 しかしクラマは実にあっけらかんと。「下着を着けたままじゃ、脱皮出来ないでしょ」と。高見沢は「うーん、なるほどね」と納得していると、クラマはえらく挑発的に。
「高見沢さんは石っころとしてハマリ役なのよ。だって、メタボでまろやかだし、それに女性より一つ引っ掛かる物が多いでしょ。さっ服を脱いで、その男の身体で御奉仕してちょうだい」

 人の一生においては、時としておかしなことに出会う。しかし、ここまで摩訶不思議なことに遭遇してしまうことはまずないだろう。
 だが事ここに至って、高見沢はこの事態を現実のものとして充分飲み込んだ。いやむしろ、クラマのモロ肉体の脱皮を素っ裸になって手伝う、こんな男冥利に尽きることはないと思うのだった。
「アイ・ガーリー(I got it.)。僕ちゃん、イケメンの石っころとなって、引っ掛かる物ともどもに頑張らせてもらいま〜す」
 高見沢は巫山戯た口調でそんな宣言をしてしまう。しかしクラマはそれに対し、しっかりと念を押す。
「高見沢さん、脱皮はね、鞍馬山台国の民族にとって、とても神聖な儀式でもあるのよ。だから、石っころは石っころらしく振る舞ってちゅだいね。アホなことをしたら、罪業深重(ざいごうしんちょう)で宇宙の果てへと追放しますからね」
「コッワー!」
 高見沢には浮ついた気分から一転、震えが走る。