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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「そうなんだ、クラマさん、王子はね、永遠に滅びないものの中に隠れているんだよ。そしてずっとそこで、クラマさんが捜しに来てくれるのを待ってるんだよ」
 それを聞いたクラマは瞳をキラリと輝かせる。
「その通りだわ。クカンテーツ王子は、きっとその永遠に滅びないものの中にいるのだわ」
 クラマは高見沢をじっと見つめて、「で、永遠に滅びないものって、この船内のどこにあるの?」と。まことにグッド・クエッションだ。

 ここはUFOの船内。と言っても、何にもない野っ原。あるのは一面に広がるクローバーと咲き乱れる青バラだけ。それだけなのだ。
「永遠に滅びないものって、この中のどこにあるのかなあ?」
 二人は同じ調子で呟き、もう一度船内を眺め直す。そこにあるのは何もない静かな空間だけ。
 しかし、仄かな青い光がある。どこかからか差し込んできているのだろう。それらが青バラの花々に衝突し、キラキラと青く乱反射している。二人は今、そんな光に穏やかに包み込まれている。そしてその青さに染められて、どこまでも癒されて行くような心模様となっている。
 王子は一体どこに隠れているのだろうか? 二人には答が見つからない。しばらく沈黙の時が流れる。
「永遠に滅びないもの、それは……この空間のどこに?」
 高見沢はクラマを連れて、この青い光の中を隠れ場所探索で歩く。そしてついに、高見沢は目から鱗(うろこ)が、いやむしろ、鱗から目が落ちるような突飛さを伴いながら、ハタと気付くのだ。

 永遠に滅びないもの。それは、この船内にある何なのかを。
「クラマさん、この青い光は、その青バラから放たれてる光だよね。と言うことは、反対に……、これって花言葉通り『究極の愛』の光と言えないかなあ」
 高見沢は自問自答するように、クラマに話し掛けた。クラマも何かを悟ったようだ。
「そうよね、私たちは今、その究極の愛の光に抱擁されているということだわ」

 高見沢はゆっくりとクラマに向き直った。そして優しく告げる。
「この宇宙で永遠に滅びないもの、それは光だ。だからクラマさん、貴女が捜している王子は……、そう、この青い光の中に隠れているのだよ」
 クラマはこう告げられて、黙り込んでしまった。そしていつの間にか、その美しいグリーン・アイズを潤ませている。
「高見沢さん、ありがとう、その通りだわ。私のクカンテーツ王子は、この永遠に滅びない青い光の中に隠れているのだわ」
 クラマはすべてをつかみ取ったようだ。そして今度はいきなり頭を下げる。