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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 高見沢はクラマが呟く「思い出したの、だけど思い出せないの」、これがどういう意味なのかがピンとこない。そしてクラマの胸の内を少し気遣って、「良ければ、もう少し詳しく話してみてごらん」と促してみた。
 するとクラマは、まるで高見沢にすがるように話すのだ。
「私には、究極の愛を誓い合った恋人がいたのです。その彼、そう、クカンテーツ王子と一緒にこの星にやって来たのです。だけどある日ね、敵の襲撃に合ってしまって、王子は私をここから逃がしてくれたわ。その別れ際にね、王子と約束をしたのよ、必ず再会しましょうてね。そして王子は私に、いつの日にか見付けにきて欲しいと言い残して、どこかへ隠れてしまったわ。その彼を、心の奥底で、ずっと捜しに行かなければならないと思っていたのよね」

 高見沢はこんなクラマの話しに、その先にある結論を聞いてみる。
「それでその王子は、どこに隠れているの?」
 クラマはここから言葉が出てこない。そしてエンエンと一頻(ひとしき)り泣いてから、小さな声で言う。
「私、それが思い出せないの。王子がどこに隠れてしまったのかが」
「ほー、それは大変だ」
 これは容易ならざる事態だと高見沢は理解した。だが、その割に応答が軽い。
 さらに深刻そうにクラマが「ねえ、高見沢さん、教えて、彼はどこに隠れてしまったの?」と迫ってくる。「そんなの、俺、わからないよ」と高見沢はつれない。クラマはそれでも取りすがってくる。

「高見沢さんは、クカンテーツ王子と同じ男の子でしょ、それに私の水先案内人でもあるのよ。ねぇ、もし高見沢さんだったら、どこに隠れるの? 考えなさいよ!」
 清楚で純情なはずのクラマの口調が、どうもマキコ・マネージャーに似てきた。高見沢は「これはちょっとまずいなあ。女はいつもこうなんだから。これ以上になると怖くなるぞ」と思い、「うーん、なかなか難しい問題だね。ちょっと脳みそを絞ってみるか」と返した。そして、ここまでのことを振り返り、謎解きを始めるのだ。

「卑弥呼女王は、確かキーワードはウルティメート・ラブと叫んでたよなあ。これって、青バラの花言葉の究極の愛と言うことだよね」
「そうよ、クカンテーツ王子は、私にウルティメート・ラブ、つまり究極の愛を捧げると誓ってくれたわ」
 高見沢は水先案内人の任務を負っている。その責務を果たすために、必死になって推理を始める。
「究極の愛って、百万年経っても決して滅びない愛と言うことかな。と言うことは、クカンテーツ王子が滅びてしまったら、究極の愛は成り立たないんだよなあ」 
 高見沢はこんなことをぶつぶつと呟く内に、ハタと気付いた。