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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 ウルティメート・ラブ、それは青バラの花言葉。つまり、【究極の愛】。
 卑弥呼女王は、その言葉を澄んだ声で空間に轟き渡らせたのだ。それはあまりにも高らか過ぎて、その後急に静寂が襲ってくる。
 卑弥呼女王はその状況を確認し、コクリと頷く。そして踵をくるっと返し、奥の空間へと消えて行ってしまったのだ。
 高見沢はまだよく状況が理解できていない。立ち去って行く卑弥呼女王の後姿をポカーンと眺めるだけ。だが、クラマだけが笑みをたたえ、納得したかのような表情で見送ってる。

 しばらくしてから、マキコ・マネージャーが「大変なことが始まりそうよ。高見沢さん頑張ってね」と囁いてきた。高見沢はやはり訳がわからず、素直に問うた。
「マキちゃん、どういうことなのかなあ?」
 するとマキコ・マネージャーは、なにが面白いのか、少し捻れた笑い顔で高見沢を見つめてくるのだ。
「高見沢さんがクラマさんの水先案内人となって、卑弥呼女王がキー・ワードを仰ったでしょ、ウルティメート・ラブって。つまりクラマ姫の究極の愛を探しに行くのよ。ひょっとしたら……帰還できないかも知れないわ」

「えっ、クラマさんの究極の愛を探しに。それって、そんなに危険なの?」
 高見沢が訝ってると、マキコ・マネージャーがさらりと付け加える。
「でもね、思い出して、このプロジェクトの私たちの役割分担を。それは私が頭脳で、高見沢さんが手足よね。汗を一杯流して頑張ってきてちょうだい。その結果、遭難しても男の本望だわよね」
「えっ、マキちゃん、そんな役割、勝手に決めるなよ!」

 クラマ姫はこんな二人のやり取りをじっと聞いていた。そして申し訳けなさそうにしている。
 グリーンの瞳が少し涙目に。高見沢はそんなクラマに気付いた。
「おっおー、クラマ姫、気にすることないよ。この一言多いお姉さんが、いけ好かないだけだよ。とにかく高見沢一郎がクラマ姫のために精一杯尽力させてもらうからね」
 高見沢は優しく意を伝え、そしてクラマに尋ねる。

「ところでクラマさん、究極の愛って、どこへ探しに行けば良いの?」
 これに応えて、クラマ姫はキラキラとグリーンの瞳を輝かせて、綿々と訴えるのだ。
「私は卑弥呼女王にお会いして、初めてわかりました、私の原点は鞍馬山台国だと。そしてそこが私を呼んでます。そこには私の探しているもの、これも卑弥呼女王から教えてもらったのですが、それは究極の愛、私の究極の愛がそこにきっとあります。だから高見沢さん、鞍馬山にぜひ連れて行って下さい」
 高見沢はこんなクラマの迫力に圧倒されてしまった。