笑ミステリー 『女王様からのミッション』
翌朝、高見沢は少し早めに起きた。かなり張り切っている。
知らない土地のサイトシーン。それは面白く、楽しいものだ。そして、今日はゆったりと不安のない観光巡りができるはず。なぜなら、車には多機能最新型のカーナビが装備されていて、道に迷う心配がない。
高見沢は朝食をさっさと終わらせ、観光ドライブの準備のために駐車場へと向かった。そして、早速車に乗り込んでエンジンを始動。「さてさて、ナビのセットをしてみるか」と呟きながら画面に触れてみた。
「えっと、目的地は……どう操作するんだったっけ?」
高見沢は思い出している。
そんな時に、突然画面に〈地域選択〉、もしくは〈時代選択〉という表示が表れた。
〈地域選択〉、それはカーナビでは一般的なものだ。特に不思議なものではない。ここでは沖縄県を単に選べば済む話し。
しかし、この〈時代選択〉とは? ちょっと常識を超えた不思議な選択肢だ。
「何だろうなあ、これは?」
高見沢はそう呟きながら、〈時代選択〉の表示を指先でちょこっと触ってみた。すると即座に、〈一〜五世紀、六〜一〇世紀、一一〜一五世紀、一六〜二〇世紀〉というような新たな選択肢画面が表れ出てきたのだ。
「ナヌ!」 高見沢は一言漏らした。そして深くも考えもせず、先頭の〈一〜五世紀〉を衝動的に選んでしまったのだ。
すると次の画面へとすぐに移り、〈目標地名選択〉と出てきた。そしてその画面下方に、〈地名選択肢〉とあり、その代表例がいくつか表示されている。
その地名の中の一つに、なんと仰天の表示があった。
それは……〈邪馬台国入口〉。
「ウッソー! 邪馬台国入口って?」
しかし、高見沢は急に興味が湧き出す。早速指先をそこへと持っていき、画面表示・〈邪馬台国入口〉に触れてみる。僅か一〇秒ほど待っただろうか、なんと全国版地図がぱっと表れ出てきたのだ。
高見沢は目を凝らして見てみる。赤い目標フラッグが日本全国地図の真中辺りに突っ立っている。それはどうも京都辺りに立っている模様。
「これじゃ小さ過ぎて、何のことかさっぱりわからないなあ。もう少し拡大してみるか」
高見沢はそんな独り言を吐いて、四、五回連続的に拡大操作を行った。その結果、地図はどんどんと大きくなり、百メートル位の単位まで読み取れるようになった。
作品名:笑ミステリー 『女王様からのミッション』 作家名:鮎風 遊