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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 赤い目標フラッグはそんな画面の中央に立っている。そして、そこには〈邪馬台国入口〉と。そんな驚きの画面表示がそこにはあったのだ。そして、その住所は〈京都市東山区祇園桜見小路東入ル〉。
「まあ、どういうことなのかなあ、これは!」
 高見沢は完全に度肝を抜かれてしまった。
 沖縄まで夏子と旅行に来た。そして、レンタカーの多機能最新型カーナビで、なんとその〈時代選択〉を最初に選び、その結果、〈邪馬台国入口〉に出くわしてしまったのだ。そして、その住所は仰天の京都祇園。

 高見沢は京都南部の宇治に居を構えている。その関係か、祇園は夜遊び圏内。その辺りは結構慣れ親しんでいて、土地勘がある。
「エッ! 何だよ、これっ! 祇園桜見小路東入ルって、クラブ・LOVEの付近だよなあ」
 高見沢はハトが豆鉄砲を食ったような顔に。そうなのだ、クラブ・LOVEは高見沢が年二、三度顧客の接待で使う店。明らかに〈邪馬台国入口〉は祇園三姉妹の美人ママが切り盛りするクラブ・LOVE付近にあると表示されている。
「邪馬台国って、そんな所に入口があるのか、うーん、知らなかったよなあ。だけど、だけど……そんなアホな!」
 高見沢はそう思い切り叫び、しばらく絶句してしまった。そしてしばしの沈黙の後、あまりの馬鹿馬鹿しさに、「沖縄まで遊びにきて、なんで邪馬台国なんだよ!」と唸り、画面を強引に消してしまった。

 今はそんな奇妙なことに関わっている場合じゃない。夏子と二人で、沖縄を楽しまなければならない。
 高見沢は最初の〈地域選択〉画面に切り替え、本来の沖縄旅行、その行動モードに自分自身を無理矢理戻すのだった。