笑ミステリー 『女王様からのミッション』
情報有り!
東京、吉祥寺の四角井デパート、
夕刻五時頃、二十五歳位のグリーン・アイズの女性が毎日その前に現れる。
今からただちにミッション遂行すること!
ただし、旅費は全部自費処理せよ。
高見沢はこの自費処理せよにカチンときた。
しかし、ついにグリーン・アイズに出逢うことができるかも知れないと興奮し、「よっしゃ! 俺にまかせろ!」と直ぐさま返信した。
「なるほどなあ、東京の吉祥寺ね、雰囲気的になんとなくグリーン・アイズの女性がいるような気がするよなあ」
高見沢はこう呟き、今度は胸をドーンと張って大声で叫ぶ。
「ミッション始動!」
そして、なにはともあれ緑の窓口へと足早に歩き始める。
卑弥呼女王から命を受けたミッション、その本格活動のスタート。いよいよ新たな非日常的な物語の始まりなのだ。
さてさて、吉祥寺にグリーン・アイズの女性は本当にいるのだろうか?
高見沢は果たしてその彼女に会うことができるのだろうか?
もしそうなったとしても、その後は一体どうしたら良いのだろうか?
マキコ・マネージャーにとっても、そして高見沢にとっても、それはドキドキするような楽しみなことだ。
「ミッション始動!」
高見沢は今急いでいる。京都駅・みどりの窓口へと突進中なのだ。
「グリーン・アイズの女性は、ついに吉祥寺で発見されたか。早く行って、彼女を京都へ連れて帰り、卑弥呼女王に顔見世させるぞ」
高見沢はいつになく真剣で焦っている。これは関西人に一般的に見られるキャラクター。
要は単純。高見沢も同様に単純。もう他のことは何も見えていない。
作品名:笑ミステリー 『女王様からのミッション』 作家名:鮎風 遊