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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 歳月の流れは速い。
 高見沢が邪馬台国・第六七代卑弥呼女王からミッションを拝命して、すでに一ヶ月が経ってしまった。
 高見沢は自分なりに邪馬台国に貢献するため、ずっとグリーン・アイズを探している。しかし、周りにグリーン・アイズの持ち主なんているわけがない。みんな仕事に疲れ、グリーン・アイズどころかイワシの腐ったような目をしたヤツばかりだ。
 多分高見沢の目も腐っているのだろう。それでも高見沢は、いつも卑弥呼女王と同じ瞳を持つグリーン・アイズの人を探している。

 今朝の通勤時にも、駅のエスカレーターに乗りながらすれちがう人たちの目を観察する。
「グリーン・アイズは、いないかなあ」
 朝早いのか、みんなの目は虚(うつ)ろで半分閉じている。大概見たくもない目をしている。
 しかし最近高見沢は発見したのだ。本当に稀ではあるが、朝一番からでも清々(すがすが)しい目をした人がいる。老若男女を問わず、はっとびっくりするほど綺麗な目をした人がいるのだ。
 そんな時、高見沢はとにかく嬉しい。しかし、それは残念なことだが、卑弥呼女王からのミッションを達成するまでには至らない。それはグリーン・アイズではない瞳なのだ。

 世の中には黒い目/青い目/茶色の目、そしてグレーの目。いろんな目をした人たちがいる。
 おまけに徹夜明けの赤い目。借金取りに追われ、必死の黄色い目。そんな特殊色の人たちまでいる。しかし、グリーン・アイズだけは見付からない。
「今度東京出張時に、山手線を何周してでも探してやろうかなあ」
 高見沢は苦し紛れに、最近そんなことを真剣に考え始めている。

 そんなある日の仕事も終えた夕暮れ時、胸のポケットに忍ばせてある個人ケイタイが、メールを受信したのかピッピッピッと小さく鳴った。高見沢がおもむろにメールを開いてみると、邪馬台国のマキコ・マネージャーからの伝言だった。