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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「えっ、そうなの、ダイヤモンドより価値があるってこと? あのう、お持ち帰りしたいんですけど……、卑弥呼さん、オレンチへ遊びにこない?」
 高見沢は調子に乗ってまたアホなお願いをしてしまう。
「まっ、高見沢様、冗談が多いですこと」
 女王は、高見沢のお持ち帰り要望、そんな無心を軽くかわした。
 そんなやり取りを、横で聞いていたマキコ・マネージャーが、またまた余計なことを補足説明するのだ。
「はい、高見沢様の遺伝子には、スケベごころ一杯なメチャクチャ危ない塩基の組み合わせが、見事に観察されました」
 高見沢はこんな横やりで、その横暴な発言に頭にくる。

「マキちゃんなあ、アンタのDNAは、いっつも一言多い塩基の組み合わせなんだろ!」
 その上に、「バッキャロー!」と怒鳴り付けたかったが、卑弥呼女王の手前、我慢してその言葉を飲み込んだ。
「高見沢様、それでは今から卑弥呼女王より四つ目のお願いを頂きますので、厳粛になされよ!」
 マキコ・マネージャーが高見沢の怒りを頭から無視し、こう告げた。
「お願いというよりは、これは高見沢様へのミッションです。よろしいですか?」
 卑弥呼女王から高見沢にミッションの通達があるということらしい。

【MISSION】、それを日本語で言えば、使命。
 なんとカッコ良い言葉であろうか。まるでスパイ映画にあるように、情報部員が極秘任務を受けるような響きがある。
「Yes、Queen!」
 身が引き締まる思いで、高見沢は背筋を伸ばし、それに応えた。
 卑弥呼女王は、空間全体に行き渡る澄んだ高らかな声で、高見沢に向かってゆっくりと言い渡す。

「ミッション! グリーン・アイズを探し、邪馬台国に連れてきて、種の保存に貢献すること」
 それはあまりにも格調が高く、厳か過ぎた。

「女王様、承知致しました。そのミッションに精励致します」
 高見沢は大きな声で自分の意志を明確に伝えた。卑弥呼女王はそれに軽く頷き、くるっと踵を返して奥の方へと消えて行った。
「高見沢様、これで本日のすべてのプログラムは、無事終了致しました」
 高見沢は卑弥呼女王を見送りながら、そんなマキコ・マネージャーの締(し)めの言葉をぼやっと聞く。