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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 女性が高見沢に柔らかく微笑む。
「うーん、きつそうで柔らかい、これはちょっと複雑。しかし綺麗な人だなあ、スタイルも良いし、ヅカのトップスター以上だよなあ」
 黄金色に貝紫、そんな色合いの中から醸し出されてくる女性の品格。高見沢はそんな美しさで思考が飛んでしまった。
 そんな混乱を誤魔化して、高見沢はニコッと笑い返してみせた。
 すると、高見沢の取って付けたかのようなスマイルに応え、その女性から優しい言葉が発せらる。

「高見沢様、ようこそ女王国においで下さいました、私が六七代目の卑弥呼でございます。さあお気楽にして下さい」
高見沢はこの言葉を受け、緊張のあまり女王様に品のない挨拶をしてしまうのだ。
「ああ、お宅がヒミコはん? 俺、タカミザワだよ、逢いたかったなあ……、で、元気?」
 これはまったく動揺の裏返し。まるで高校時代に初めて手を握ったガールフレンド、そんな大和撫子に再会した時のような話しぶりだ。

 横に付き添うマキコ・マネージャーは、明らかにムッとする。
「ちょっとおー、その言い草は何なのよ。アンタはそこそこ歳を食ったオッチャンなんだから、もうちょっとちゃんとした挨拶をしなさいよ!」
 耳元で、マキコお姉からきついお叱りを受けた。
 そんな様子を見ていた卑弥呼女王は「いいのですよ、高見沢様。遠慮なく、なんでも好きなことを話して下さいね」と声を掛けて下さるのだ。
 なんと心優しい卑弥呼女王様か。マキコお姉とは月とスッポン。まことに感動ものだ。

 しかし、それでよせば良いのに、また図に乗って、ふと思い付くままに聞いてしまうのだ。
「じゃー、遠慮なく一つだけ、……、卑弥呼女王様って、ボーイフレンドは誰ですか?」
 高見沢はよほど俗っぽい人間なのだろう。まったく芸能レポーターのような質問を飛ばしてしまっている。
「アンタ、もう少しアカデミックな質問はできないの」
 横からまたマキコ・マネージャーがキリッと睨む。しかし、卑弥呼女王は丁寧に答えてくれるのだ。

「グッド・クウェションですね。彼イナイ歴七年なのよ。邪馬台国の卑弥呼のボーイフレンドは、代々種の保存を第一義に考え、広く人材マーケットから選抜し、そして抽出をしてきました。つまり強い男だけがボーイフレンドになれるのですよ」
「あのう、僕ちゃんも結構強いですが」
 高見沢はそんな厚かましい合いの手を入れた。するとすかさずマキコ・マネージャーが口を挟む。
「これ嘘です。高見沢さんはおつむが油っこくって、野蛮なだけなのです」
 まあ好き勝手によく言ってくれるものだ。しかし、女王様はそんな意見には反応せず、話しを続ける。