笑ミステリー 『女王様からのミッション』
高見沢の魂は美人ロボ・ララちゃんにコピーされ、四つのお願いの内の三つは完了した。
だが、四つ目が何なのかがわからない。
高見沢はそんなことよりも卑弥呼女王に興味があり、「ところで、第六七代の卑弥呼女王は、どこにおられるの?」と、マキコ・マネージャーに思い切って聞いてみた。
「卑弥呼女王は、この地下の女王国の中央におられますわ。すでに御存知だと思いますが、この邪馬台国は世界のすべてとネットで繋がっていて、世界の最新情報を集め、また発信しているのですよ」
高見沢は熱の入り出したマキコ・マネージャーの話しに、「ほう、そうですか」とうんざりしながら答えた。
「だから高見沢様のことは、すでにすべて御存知です。高見沢様に是非お会いしたいと申されておられますわ」
マキコ・マネージャーはさらに続けて、「ここから先は最高機密になってます。だから、本人確認のDNA登録と指紋電子照合が必要です。高見沢様、よろしく従うことよ、わかったわよね」と、ほとんど命令。
そして長いドレスを力強くごいっと引き上げて、高見沢の先頭に立ってさっさと歩き出す。
「おいおいおい、ちょっと待ってくれよ」
高見沢は内心不安ではあったが、とにかくお姉さんの後をついて行くしかなかったのだ。そして、いくつかのエレベーターとエスカレーターを乗り継いで、その果てに、体育館ぐらいの大きさのある広い空間へと出てきた。
高見沢はどこかで見たシーンだなあと思う。
「そうか、映画・スターウォーズのジュダイの神殿、あの場面に似てるかな?」
しかし、そう暗さを感じさせるものではなかった。
フロアー面は乳白色の靄(もや)がうっすらと立ち込めている。そして淡い光りがそこに射し込み、床全面がオパール色に乱反射している。
「どうぞ、こちらへ」
高見沢は導かれるままに三十メートル程先に目をやると、そこには一人の女性が立っていた。
女性は淡い貝紫(かいむらさき)のロングドレスを身に纏い、真珠をちりばめた冠を長い黒髪の上にのせている。天井からの黄金色のスポット・ライトに、その姿態は映え、シーンと静まりかえった中で一人毅然と立っているのだ。
そして、その女性から発せられてくるオーラ、それはなにかこう気持ちをしっとりと落ち着かせるものがある。
作品名:笑ミステリー 『女王様からのミッション』 作家名:鮎風 遊