小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

笑ミステリー 『女王様からのミッション』

INDEX|14ページ/80ページ|

次のページ前のページ
 


「一つ目のお願いは……、この現存する邪馬台国のことは誰にも言わず、その秘密をきちっと守って下さいね」
「なんだ、そんなことか。OKでありんす」
 そう軽く返してみたものの、この「OK」という返事、それはかなり深い意味を持ち、なにか将来人生の一大事がきっと起こるだろうなあ、ということぐらいは、ぼんやりと予感できた。
 そんな曖昧模糊(あいまいもこ)な心情の高見沢に、マキコ・マネージャーがさらに質問を飛ばす。

「高見沢様、邪馬台国について、どれくらいの知識をお持ちですか?」
 高見沢はいよいよドラマの始まりだなと直感した。そして大きく一息吐き、知っている知識を総ざらいにして、若干もったい付けながら披露し始める。
「学校のテストみたいだね。だけど、うーん、邪馬台国は三世紀頃の話しで、女王として卑弥呼が君臨していたんだろ。だけど、その邪馬台国が日本のどこにあったのか、今でも正確には分かっていない」
 高見沢はここまで話すのに青息吐息。しかし、ここから不思議にも記憶が蘇ってきたのだ。
「そうそう、中国の三国時代に、魏から使いが来たのだったよなあ。その時の記録は魏志倭人伝とか言ったかな。北九州に上陸して、当時の水行十日、陸行一月で邪馬台国に辿り着いたと書いてある」

「高見沢様、結構いい線行ってるわよ。それでそれで?」
 マキコ・マネージャーがここぞとせっついてくる。
「うーん、思い出してきたよ。その魏志倭人伝の十日と一月を、『水行・プラス・陸行』と読むか、それとも『水行・オアラ・陸行』と読むかで、邪馬台国が存在したと推察される場所、それは畿内か九州かに分かれるのだったよなあ」
 マキコ・マネージャーは高見沢の気合いの入った解説をじっと聞いていた。そしてそれが終わると、少し間をおいて、「良くできましたね、二重丸上げます」と一言。まるで学校の先生のようだ。

 そのマキコ先生は今度は生徒に教えるかのように、高見沢様と呼ばず、「いいですか、高見沢君、今でも謎とされている邪馬台国、それはこの祇園の地下百メートルのところに、今も現存しています」と明言する。
「えっ、それってホントなの?」
 高見沢は信じられない。

「この邪馬台国は、一千八百年もの長きにわたり、女王国として、営々とここで繁栄してきたのですよ。そしてこれからも繁栄を続けて行くためには、どこまでも神秘でないと駄目なの、わかるでしょ。……、だから秘密はきちんと守って下さいね」
 マキコ・マネージャーが改めて念を押してきた。