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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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「そんなアホな! ねっ、お願い、お姉さん、ビールくらい飲ましてよ」
 本性は隠せるものではない。高見沢は、会話が盛り上がらず、自分の思いに沿わないものになってくると、やっぱり辛抱堪らず本音を吐いてしまうのだ。
 それでもその女性は、こんなオヤジの扱いに慣れているのか、シレッと。
「高見沢様、第六七代の卑弥呼女王がお待ちですので、私の後について来て下さい」
「えっ、今、何と言ったの? あの卑弥呼さんが……まさか東京の靴屋さんとチャウやろね」
 高見沢はまだまだアルコールがしっかり残っているのか、つまらぬことを言ってしまってる。
「まあまあまあ、まずは御説明致しますから、こちらへどうぞ」
 女性はそう言い、高見沢の前に立って、さっさと次の部屋へと歩き出す。

 こうして案内された部屋は、朱を基調とした空間だった。壁には大きな古代の船が描かれている。それが何故そこにあるのかよく理解できないが、その船の旗には〈魏〉という文字が入っている。
 高見沢は「ほー」と感心しながら、三メートルほど離れて配置された大きな椅子に、女性と向かい合って座った。
「それでは高見沢様、まず自己紹介をさせて頂きます」
 女性はこう口火を切った。
「私、邪馬台国の情報部のマネージャーをしておりますマキコでございます。今回、高見沢様の担当となりました」
「えっ、俺の担当って? そんなの勝手に決めないでよ」
 高見沢がぶつぶつとこぼすと、女性は構わず続る。

「私も断りたかったのですよ。だけど不埒(ふらち)なオッサンの相手は、私にしか出来ないってね、女王様から特命を受けましたの」
 マキコ・マネージャーはそうほざいて、ブーとふて腐れる。だが高見沢は、意外にもこんな居直り女が好みで、弱い。
「まあまあまあ、そう言うなよ。これも何かの縁だよ。だけどマネージャーって、立派だよなあ」
 そんな胡麻を擦ってみた。
「いえいえ、情報部のマネージャーと言ってもね、何から何までしますのよ。庶務のようなことまでね、オホホホホ」
 マキコ・マネージャーは少し気分を直してくれたようだ。だが高見沢は「また、オホホホホかよ」とかなり不満。しかし、ここは得意のオベンチャラを一発。
「ヨッ! カッチョイイ! お綺麗だし、庶務2のマキちゃんなんだね。うちの会社の絵墨さんに瓜二つだよ」
「それって一体、どこの会社なのよ。例えが古くさ過ぎない?」
 マキコ・マネージャーは高見沢の捻れたお世辞に……思いっ切り、ムッ。しかしここはマネージャーらしく、素早く論点を変えてくる。