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笑ミステリー 『女王様からのミッション』

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 まことにびっくり。その中はギンギラギンのキャバクラでもないし、上司が部下に人生訓話をぶっている居酒屋でもない。そこは、喧騒(けんそう)な世俗世界とはまるっきり正反対な格調高い厳(おごそ)かな世界だった。
 事実、高見沢自身はなにもセクシャルなことを期待していなかった。そして居酒屋みたいなざわめきも求めてはいなかった。
 ただ単に沖縄旅行で使ったカーナビで、邪馬台国の入口の在りかをたまたま知ってしまった。それがどんな所なのかという興味だけで、ここまで訪ねて来たのだ。

 それにしても、このような古代女王国発見とは、なんと摩訶不思議なことだろうか。
 実際高見沢が歩き進んだ空間、そこは地下とは思えない広さがあり、床には分厚い絨毯(じゅうたん)が引き詰められてある。そして仄かに明るく、少しひやっとするナチュラルな風が流れ、ないか神懸かり的な雰囲気が一杯する。
 その全体を包むムードがそうさせるのか、高見沢はすぐに落ち着きを取り戻した。そして、いくつも飾ってある調度品を眺めて見る。
 それらは古代の埴輪のようなもの。しかし、すべて黄金色に光り輝いている。
「へえー、スッゲーなあ!」
 高見沢は思わずそう叫んでしまった。

 そんな時に、一人の女性が奥の空間から、しずしずと高見沢の方へと歩み寄ってくる。
 その女性が身に纏っているもの、それは着物でもないし洋服でもない。淡いセルリアン・ブルーを色調とした不可思議なロングドレスを着ている。そしてフワリフワリと長い髪をなびかせながら現れ出てきたのだ。
「高見沢様、お待ちしておりましたわ」
 なんと、そんな事を仰るではないか。
「俺、高見沢だけど、さっきもドアのところで、スピーカーでそう呼んだよね。なんで俺が高見沢だと知ってるの?」
 高見沢は不思議で、まずはそう質問してみた。
「はい、ここは邪馬台国です。だから、インフォメーション・テクノロジーが最先端で進んでおりまして、高見沢様についてはすでに調査させて頂きました。沖縄旅行に行かれましたでしょう、その節にはカーナビを通じまして、邪馬台国にアクセスして頂き、まことにありがとうございました。その後、いつ御訪問頂けるのかと随分お待ちしておりましたのよ、オホホホホ」

 高見沢はなにかお姉さんの話しがダラダラと長くなりそうな感じがし、質問を変えてみる。
「ああ、わかりました。ところで、ここはお酒飲むとこ、それとも女性と遊ぶとこ? 一体、何をする所なのですか? お嬢様、お教え頂けませんでしょうか」
 重厚な雰囲気に飲まれてしまっているのか、高見沢からは柄にも似合わず、敬語が飛び出してきている。

「ここは、何もする所ではありません。神聖なる女王国なのですよ」
 お姉さんはまったくもって素っ気ない。