小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

これは恋ではない 1.01

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

今はなき先の親友から、足がわりに譲ってもらったオフロードハイクは、今日もゴキゲンで、フルスロットルで意識を鈍磨させてくれる暴力的な加速をくれる。

「おはようございまっす!」
ジェット型のヘルメットを肩ごしにひっかけて、朝の元気注入!

二十歳ごろから六十歳のおじいちゃんまで
上下のへだたりもなく
和やかに過ごせる貴重な空間…
今でも爽やかで懐かしい思い出だ。
情熱ではおじいちゃんたちに負けることもしばしばで、男性だけの環境は思い切り集中できる環境だった。
熱意ある講師にも出会い、運良く一年足らずで国家資格を二つとることが出来た。

俺がのびのびと勉学出来る環境など世の中に無いと思っていたから最高の学び屋であった…
なんといっても寝たきりから会社員に戻れるほどの効果があったのだから!
会社も良い雰囲気、良い同僚、良い仕事に恵まれ万事快調!


なんだが、リアルはそうはいかぬ。家族を失ったダメージと、実家を追い出されるように上京、学校での雰囲気に押されて就職したのは時期尚早だった。学校では電気を勉強して電機の世界に行った数少ない生徒だった…が



いまだ、人間としてくたびれてしまいすぎていたのだ…
一人の部屋に帰る孤独感に今日も押しつぶされそうになる。

風呂上がりのドリンクを飲んだあたりから我にかえるのだ!

・俺は人生の落伍者だと!
・妻は鬼女だが子供をなんとか保護することが出来なかったのか?
・では俺が心の支えにする[よすが]はなんだ!?


その想念にとりつかれると、酩酊して吐きそうになる…

オレハナンノタメニウマレオチタノカ?
と…

俺のコミュニケーション能力はボクサーに例えたら、典型的なブルファィターである!
懐に入ったら喉元に食らいつくように拳をブン回す!
自分の体力も顧みず徹底的に殴り合う。
これは男性に対してのアプローチとしてはハマる事もあるようで、クリーンヒットして、全国津々浦々に親友と呼べる人間が多数存在する。
自分でも恐ろしいほどの手応えを発揮出来る時がある!

これに対して女性の多くは重くてスピードに劣る拳など避け、懐に入らせない試合をする、これまた典型的なアウトボクサーである。

煩わしいブルファィターは長いリーチで近づかせない。

つまるところ俺はコミュニケーション能力に障害を持っており、環境によっては個性を封殺され、場所に恵まれねばリングに上がるライセンスまで剥奪される適応障害があるボクサーと言える。
だから惚れた腫れたの試合は付き合おうが、結婚しようが全戦全敗の泥試合ばかりで、話せないようなみっともなさである。

その世界から逃れたくて結婚したのに、鬼嫁引いて自滅とは、ちゃんちゃら可笑しい!

と、自分語りをして、この侘びしさから自宅にカワイコちゃんをよんでしまったことを
読んで嫌悪感を抱いた方には共感は無理でもご理解頂きたい。



さあ、続きに戻ろう。

ひなたさんは
「そんなことないですよぅ」

と屈託のない笑顔で笑った。
公称20歳、実際25歳の表情、仕草、容姿やファッション、そのとりまく全てが
女性の表面的な魅力に翻弄される俺には十分いや、十二分に作用して、脳髄がうずく。

女性というよりは女の子なひなたさんと向かい合い湯船で…

別にポルノグラフィティでもあるまいし、描写は村上春樹にでも任せよう。
布団で戯れながら行為へのステップを上がる。
いちいち(嘘のファンタジーを交えた)女の子的可愛さが、ついには胸を締め上げ出した…

行為に及ぶに至っては、すこしでもその状態を、その反応、表情をいつまでも維持していたいほどの欲求が全身を支配していた…

確かに俺は人をまともに好きになったことはなかった。
向かってくる相手にノーガードなだけだ。
仕方ない…家庭のぬくもりを知らぬ俺は、一人の相手と連れ添うなどという幻想を持った朴念仁だったから。

(空想の)女の子とはこんなに可愛く、愛おしいものなのか!

俺は生きていなかった。

人生を生きていなかったのだ!

愚鈍、愚直…悔恨だけが心を支配する…


人を生きることを棄てたアウトサイダーだとは思っていたが。
人の悦びさえも掌からこぼれ落ちていたのか…
人を捨てるどころか、人でさえなかったとは…
からからと荒野に風が走り抜けた。


彼女はきゃらきゃらと輝いて笑う。

(乾く喉を潤すために溢れ出る清水を貪る…)

彼女は普通の生活と、テレビの話しをさぞかし楽しそうに喋る…

(飲んでも人生と時間が戻ることはないが…オレハウエテイル)


人生を生きて来なかったのだから。

これは恋ではない。

愛おしく思った対象と相思相愛ではないから。

これは恋ではない…

体感的にこれは成就しない結末が見えているから。


さらに言えば、本当は好きじゃなくたっていい。ほんのサーヴィス



俺は媚びる(サーヴィス)のが好きだからか、自分が好感持たれるのはそういう娘が多かった。

廊下で鉢合わせたら口元に手を当てるタイプ。

大体それに釣られる世間知らずは相当に壊れている!

恋愛と結婚のタイプは違うと良くいうが、明らかに後者が幸せを得られるだろうに


そういう巡り合わせは残念ながらなかった…好色な人間と闘えるコミュニケーション能力無しに、虎穴に入る馬鹿が俺だ…


惹かれる自分を解ってはいるのだが、見える罠にハマる自分の愚鈍さもただ哀れでしかない…

一方通行の逢瀬を繰り返してもときめきと徒労感が相反する方向に引き合うだけの袋小路…


たとえようのない引力から惹かれては逃げて…


馬鹿で不毛なこの見苦しい生き様たるや、煩悩というよりは苦悩に近いのだ。



「そうそ、私テレビっ娘だから」
「ほんまでっかTVおもしろいよね~、仕事で見れないけど」

「そうそう!ワタシ小木ママが好き~カワイイもん」

「ちょっと変な話なんだけど、相手が好きだと女の娘のアソコってギュッとなるんだってさ。」
「…そうなんだ。自由自在だね☆」

キャラっといつもの笑顔を見せた。


たとえようのない引力は何なんだ?

なぜ惹かれるのかわからない…
これは金を介在させたサーヴィスじゃないか?


俺はどうせ人間ではないのだから、答えの無い袋小路に何故自ら踏み込むのだ…?

ときめき?感情の分類は分からないが

俺はひなたさんに触れることで、ようやく喜怒哀楽の全てを一通り感じることが出来た気がする…
人間を振り捨てて、ようやく人間の心を掴む事ができた…
これでいつ死んでも悔いはない。

眠りについたとき、いつ目が醒めなくても構わなかった毎日だったが、そのおぼろげな気持ちは確信へと変わった。


ひなた…魅了…されているのか…きみは…トクベツ…なのか


--------------------------
「おっパブはやってたんだけど~、こいうのは~はじめて~」

「昼は普通のマッサージの専門行ってて、店にも出てる。
前に~おじさんに~マッサージしてあげてたら、[痴漢されてるみたい]って言われて、ありえなくない!?」

「お兄ちゃんがホストやってて~[枕営業しないと指名とれねーし、ババァに限ってホテルとか行きたがるし!]」