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予感 -糸-

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【件名:ゴメン】
(あ……)

【本文:もう切れたのわからなかった】
(私に確かめてるの?最後は「?マーク」?)

【本文:おまえからの連絡もないし】
(だってしないでくれって)

【本文:気がついたら終わってた】
(え!? 終わったの……)

【本文:もう俺って駄目だよな】
(許す!って私怒ってないから、勝手に終わらないで)

【本文:でも見つからないから新しいのにした】
(もう次の子!?)

【本文:悪いけど 今度の週末あけといてくれ。会って言いたい】
(ライブで振られるの……)

彼女は、もう文字を追って読むのが 胸が痛くなるばかりだった。
(やっぱり 紐が切れたことの結末はこれなんだ)
涙も出ないほど冷静に受けとめている彼女だったが、肩で大きく深呼吸をして続きを読んだ。

【本文:まあ、おまえは充電切れたぐらいで怒らないよな】
(充…電…)

【本文:でも、おまえが充電器使って 何処いったんだ? ま、いいや】
(充電…器がなくなったの)

【本文:面白い話たんまり持っていくからさ。二時に駅前な。じゃあそんとき】
(これ以上に 面白いことってあるかしら)

彼女は、震える指先で『返信』のキーを押した。
片手打ちが、得意だったはずなのに 掌に乗せた携帯電話のキーを人差し指で ゆっくりと打っていった。

【Re:~了解】
(送信完了……はぁ)

送信を終え、携帯電話を閉じた彼女は、鼻の奥がつぅーんと沁みて 鼻を啜った。
それとともに流れた涙は、漫画さながらの様相だった。
化粧もばっちり、目元もぱっちりのアイメークは、残念ながらウオータープルーフ(※)ではなかった。
彼女の頬に携帯電話のアンテナ『バリ3(サン)』印のようなラインをついていった。

作品名:予感 -糸- 作家名:甜茶