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いとこんにゃく
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誰が為にケモノ泣く。Episode01『ある少年の告白』

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「ま、初めて来た人ならしょうがないと思うけど。とりあえずここを抜けさえすれば、目的地は道なりに行けば見えてくるよ」
「サンキュー。じゃあ助けてくれたお礼に、コレをあげるわ」
 そう言って女は胸のポケットから何かを取り出した。キャンディだ。子供じゃあるまいし、と思ったが一弥は素直に受け取った。
「どうも」
「じゃ、バァイ。少年」
 噴煙を軌跡のように描きながら瞬く間に小さくなっていくハーレー。まるで通り雨のような一瞬の出来事であった。
「顔が見られなかったのが少し残念…かな」
 あれだけ体のラインがくっきり分かる大胆な服を着ているのは自信の表れだろう。ということは顔の方もついつい期待してしまうものだが、もう会う機会すらないだろうと思うと少し後悔した気持ちになった。
 一弥は女からもらったキャンディを口の中に放り込んだ。
 甘くとろける砂糖の味が広がったかと思うと、じわじわと酸っぱさが滲みだした。
 味は、グレープ味だった。