「姐ご」 7~9
「姐ご」(9)
瓦屋も倒れる
その翌朝のことでした。
瓦屋の朝は早く、5時前にはもう起きだして自分で朝食を作り、
弁当の準備をしてからおばあさんの朝食にとりかかります。
嫁さんはいるのですがバスガイドという仕事柄、時間が不規則で、
いつのまにか、朝の支度は職人さんの担当になりました。
男の子が二人いますがともに大学を終え、
今は親元を離れて、ともに一人暮らしの最中でした。
広い屋敷には瓦屋とその嫁さん、
今年85歳になるおばあさんの3人だけです。
「婆はたいして食わねえし、
おかずもそうはいらないから、チョロイもんだ、
女房はいつ起きてくるかわからねえから、
ほうっておいても大丈夫。」
それが瓦屋の口癖です。
寝る部屋も別なら、生活パターンもすれ違いのままでした。
「家庭内に金とセックスは持ち込まねえ」と瓦屋は常に自慢をしています。
もともと、自他ともに認めている遊び人の瓦屋です。
バブルのころには人も使い、
その上前をはねて羽ぶりも良かったために、
生来の女好きのために放蕩話には。まさに際限がありません。