「姐ご」 4~6
「姐ご」(5)
厩舎の一日
厩舎の朝はすこぶる早く、
午前2時ころにはもう作業がはじまります。
1頭の世話には2時間ほどかかりまうので、
平均3~4頭を担当する厩務員は
未明から午前8時ころまで競走馬の調教にかかりっきりになります。
出勤するとまず厩舎へ行き、自分の担当する馬の様子を観察します。
異常がないかどうかの目視による確認です。
馬房では、厩務員の姿が見える前から足音や気配を察して、
もう馬たちが鼻を鳴らして騒ぎます。
寝わらを取り替え、馬房の掃除を済ませると
馬具を装着して、騎乗の準備に入ります。
午前5時を過ぎると調教師や騎乗のできる厩務員や
所属の騎手たちがやって来ます。
いきなり走らせるのではなく、騎乗したまま軽く歩かせて
その準備運動にはいります。
充分に馬の身体をほぐしたら調教の担当者に引き渡し、
さらに次の馬の準備にはいります。
調教はトレーニングセンター内にある、試走馬場
(一周約1000m)をつかってレースに備えての全力疾走や
軽い速歩など、馬の状況に合わせた調教をおこないます。
2頭目の準備が終わるころには、
すでに調教を終えた最初の馬が厩舎へ戻ってきます。
体調管理のためにも、激しい運動のあとの
生理運動(クーリングダウン)は欠かせません。
これを怠ると故障の原因にもなりますので、馬に騎乗したままの状態で
厩舎の周辺を何周も歩きまわります。
ゆえに、トレーニングセンターと厩舎の周辺は、
馬の脚を痛めないように未舗装のまま
大地を剥き出しにしてあるのです。
これが済むと洗い場に馬をつなぎ、
シャワーで汗を流し、ブラシをかけながら、併せて馬の体調や脚などに
異常がないかどうかの確認をします
その後に馬房へ戻し、飼い葉を与えて休息をさせます。